さわかみファンド(2016_6月号)

201510柴田先生さわかみファンド(2016_6月号)

異常な低金利時代が続いている。日経新聞によれば貸出金利が0.25%未満の融資残高の貸出金全体に占める割合は11%だ。今年2月の貸出金利の平均は都市銀行で0.494%、地銀では1.162%だった。昨年6月以降1%未満の貸出金残高は5割を超えて推移しており、あさひ会計のお客様でも普通の中小企業なのだが、長期の借入金金利が0.35%という例もある。

先日、「さわかみファンド」の澤上篤人氏の講演を聞く機会があった。さわかみファンドは1000億円を超える大きなファンドで長期投資、株式投資、それも103銘柄くらいの日本株一本で運用している。日本経済がジリ貧やデフレでしぼんでいるなか、17年間運用して毎月定額を積み立てる手法で5%の運用実績を示している。銀行預金の利子が0.02%の時代に何故そんなことが可能だったのか?澤上氏の講演をもとに探ってみた。

アメリカの100年以上の研究によれば、株式投資のリターンはインフレを差引いてネットで6.7%から6.8%を生んでいるのだが、債券はインフレ率を差引けば1.1%から1.2%しかリターンがなかったという。ありとあらゆる投資商品は、その時々の金利によって価額が上下するのだが、今後、金利が上がれば債券の暴落は必至だ。しかし、株式だけは唯一例外で、勿論、金利の影響は受けるのだが、個々の企業が業績をあげ、利益をあげて投資価値を高めてくれるので影響は薄いという。

さわかみファンドは投資先を業種ではなく、個別の企業で選別している。毎日の生活に欠かせない、無くなっては困る企業に応援団として投資をする。ITなどの成長産業は競争が激しく覇者がどんどん代わるから買わない。イエスタディ産業、古くてしょぼい業種にはビジネスが安定していて意外と成長している企業がある。成熟経済ではみんな脱落するから、生き残った会社は大きくなる。そのなかで応援したい企業をしっかり見極めて、それ以外は見向きもしない。何があっても潰れない企業の応援株主となって、安全かつ着実な財産作りをしていく。儲かればいいという企業は絶対に応援しない。重要なのは経営姿勢だという。

そして、株式の暴落時にドカンと買う、とにかく買う。暴落が一段落して、ある程度上がってきたら、結構早い段階から薄く薄く売り上がっていく。長期投資で一番いかんのは、相場を追いかけることだという。日本株一本でやっているが、運用銘柄は世界で5割以上稼いでおり事実上はグローバル化しているのだ。それに、株式市場が暴落しても身近な日本株だったら、この会社は頑張っている、まだ潰れないとわかる。長期投資の鉄則は、身近なところで財産を運用していく、わからないものには手を出さないことだという。