ものづくり人材の育成について(2012_8月号)

ものづくり人材の育成について

㈱旭ブレインズ 中小企業診断士  倉金 徹

皆さんは中小企業庁が毎年公表している『中小企業白書』をご存じですか?その名の通り中小企業にまつわる話題を中心に取り上げているため内容が身近で親しみやすく、また文章よりグラフが多いので、読ませるより見せる紙面に仕上がっています。

今回の白書では、「中小企業におけるものづくり人材の育成」というテーマで、中小製造業の技術競争力に関するアンケート調査を実施しています。
調査では、5年前と比較して「技術競争力が高まっている、あるいは従来の水準を維持できている」と回答した企業が83%に達する一方で、約17%の企業は「技術競争力が低下している」と回答しています。その理由の約70%が「技術・技能承継がうまくいっていない」です。
技術・技能承継がうまくいっている中小企業と、うまくいっていない中小企業について、技術・技能承継の取組実施度を比較したのが下のグラフです。

ものづくり人材の育成について

技術・技能承継がうまくいっている中小企業では、熟練技術・技能に関する標準化・マニュアル化、機械化・IT化、OJT、Off-JT、資格・認定制度、目標設定・達成度評価、処遇の充実など、取組実施度が全体的に上回っています。

ものづくりの技術・技能がベテラン社員から若手社員へと円滑に受け継がれていくためには、現場における常日頃のOJTをはじめ、技術や技能の「見える化」、Off-JT、目標設定や社内資格制度などによる動機づけ、そして評価・処遇までの仕組みが、一連の流れとなって繋がっている必要がありそうです。これらの仕組みは、あたかも鎖の環のように一部だけを強化してもあまり意味はなく、逆に弱いところがあるとそこから切れてしまうことから、全体的にバランス良く取り組んでいくことが効果的と言えそうです。

製造業にとって競争力の源泉とも言える技術競争力を今後とも強化・維持していくにあたって、この取組実施度を参考にチェックしてみてはいかがでしょうか。