アベノミクス(2013_2月号)

shibata_201302アベノミクス(2013_02月号)

自民党政権に代わり安倍首相になって、景気が回復することを期待する経営者は多い。安倍政権は、いわゆる「アベノミクス」と呼ばれる①大胆な金融政策、②機動的な財政政策、③民間投資を喚起する成長政策の「三本の矢」によってデフレから脱却し、成長と富の創出を好循環させて「経済再生」を果たそうとしている。

ここ10年間、日本経済が円高とデフレ不況で低迷している間、日本以外の欧米の先進国は4%(実質2%+インフレ率2%)超の経済成長率を達成してきたのであるが、マイナス成長だった日本がもし欧米同様に4%の経済成長を達成していれば、日本のGDPは現在の2倍の約1000兆円に達しており、1000兆円の公的債務があったとしても何の問題もなく財政危機も生じていないはずであった。

アベノミクスの第1の矢は金融政策である。2%のインフレ目標を掲げ、無制限の金融緩和で資金の供給量を増やすことにより株価を上げ、円の為替相場を下げ、金融機関の個人や民間企業への貸し出しを増やそうとしている。これまでは日銀が金融緩和をしても資金が金融機関に留まり民間に流れずその効果を阻害していたが、今回はその壁を破れるかどうかだ。

第2の矢は財政政策であるが、安倍政権は10兆円規模の補正予算を閣議決定した。政策金融等を含む事業規模は20兆円に及びGDPを2%程度押し上げ、60万人の雇用を創出する効果を見込んでいる。

しかし、日本では統計的に見て財政支出の効果は限定的だ。特に公共事業は、波及効果は1と経済成長に対しては効き目が薄い。さらには職人不足で仕事を捌ききれない懸念がある。

要は、市中に金が出廻り、受注が増え、生産が増加し、雇用が増え、給料が上がり、消費が増え、さらに受注が増加するという好循環の輪がぐるぐると廻るようになれば自ずと景気は良くなるのであるがハードルは多くて高い。

アベノミクスの第3の矢は成長政策である。安倍首相は成長政策の視点として1)規制改革などのイノベーション、2)グローバル化、3)全員参加型の社会構築、4)日本の強みを発揮できる仕組み構築、5)世界最先端の産業の5つをあげている。しかしながら、これまで規制緩和などは官僚等に阻まれて遅々として進まず、また国が手をつけた産業は、農業・繊維・造船等ことごとく行き詰まっている実態があり目的の達成は容易ではない。

更には、今年の3月に期限が切れる金融円滑化法のその後の処理や、来年4月には施行予定の消費税の増税など様々なハードルが横たわっている。金融円滑化法については金融機関は従前のままの処理が可能と金融庁から通知があったという情報もあるが、今回の経済再生プランが躓かないで進んでほしいと願っている。