シャッターチャンスプロジェクト(2014_11月号)

シャッターチャンスプロジェクト(2014_11月号)

監査6部  井上 日登美

東京、日本橋。東海道五十三次の歌川広重ゆかりの地で、店の閉店後のシャッターや壁一面に浮世絵を描くプロジェクトが7年前から続いています。
仕掛人は「日本橋めぐりの会」の川崎晴喜さんです。江戸の庶民文化が発祥したこの界隈一帯を浮世絵美術館にしようと考えました。

浮世絵は、1867年パリ万博に出品した伊万里焼などを保護するために、今の新聞紙のように包み紙として使われていました。それがパリの人々の目にとまり、印象派の画家達に大きな影響を与えました。
ゴッホが模写した絵は、140年の時を経て、老舗店舗のシャッターをキャンパスに見立てて、ペンキで再現されたのです。現代の絵師は、東京藝術大学の卒業生や在校生たちです。
例えば、かつて魚河岸があった場所にある天麩羅店のシャッターには、江戸時代に描かれた天麩羅屋台の絵が模写されていたり、それぞれにその土地や名店に由縁のある浮世絵作品が描かれています。
この話を聞いて、私はさっそく日本橋に住む友人に尋ねてみたのですが、「うーん?よく知らなかったなぁ…。今度、朝早く散歩してみるね!」との返事でした。

なるほどそれもそのはず。絵はシャッターに描かれているので、開店前や閉店後、休みの日にしか見ることが出来ないのです。
川崎さんは「和の文化は裏地にこるのが粋。店が開いていないときだけ見られるアートは、見えないおしゃれのようなもの」だと言います。
「日本橋めぐりの会」は「街のさまざまな場所にシャッターアートを増やして、それらを巡るツアーが組めるようなランドマークにしたい」と街の活性化のために活動しています。
2020年の東京オリンピックで海外からのお客様をお迎えする際にも、江戸情緒あふれる景観を楽しんでいただける、ご当地ならではの粋なおもてなしが出来そうです。

シャッターチャンスプロジェクト_photo(2014_11月号)

引用注:
日本橋めぐりの会
日本橋弁松総本店