フィンテックとクラウド会計(2016_9月号)

201510柴田先生フィンテックとクラウド会計(2016_9月号)

金融とIT(情報技術)が融合したフィンテックの潮流が世界を席巻し始めている。このITテクノロジーは、従来、金融機関が担ってきた決済、資金運用、融資といった金融サービスをもっと手軽に、素早く、低コストで提供することを可能にするため、既存の金融機関は危機感を募らせている。

日本では金融業界の規制が厳しく、新たな発想による金融サービスの展開が遅々として進まずにいるうちに、欧米では①スマホを活用して個人間の送金や決済が可能となり、②ネット上で不特定多数の小口の出資を募るクラウドファンディングが出現し、③スマホ決済時に目をかざして本人確認をしたり、④銀行口座やクレジットカードから入出金データを自動的に取得して自動仕訳をするといったサービスがベンチャー企業により次々と提供されている。

フィンテックと金融機関との関係は、流通業界等で見られるネット販売と店舗での対面販売との競争と同じ構図だといわれており、アメリカのコンサルティング会社マッキンゼーは今後10年間でフィンテックによって銀行の売り上げは40%減少し、利益は60%減少すると予測している。

日本においても2016年5月にフィンテックを始めとする金融制度の改正が可決されたことにより、経済取引のキャッシュレス化や会計業界のクラウド会計化が急速に進むと見られている。

クラウド会計について再確認しておこう。クラウド会計ではインターネット上にサーバーがあるため、お客様のパソコンや会計事務所のホストコンピューターにソフトウェアをインストールする必要が無い。会計データの作成も、保存も、修正もインターネットがつながる環境であればどんな端末でも、どんな場所でも作業が可能であり、お客様と会計事務所がデータを共有することとなる。又、バージョンアップが不要(自動アップデート)なので追加費用はかからず、サーバー設置もいらないので圧倒的にコストを削減できる(月額2~3千円)。しかも、データはクラウド上で安全に保管され、金融機関と同等のセキュリティレベルを実現している。

これらの基盤の上でフィンテック技術が真価を発揮する。①銀行口座やクレジットカードを登録すると取引明細が自動取得され、自動仕訳される。しかも、使うほどに学習機能が働いて仕訳精度が上がる。②クラウドソフトにより請求業務を行えばメールで請求書が送付され、会計が自動的に連携して売掛金管理や入金消し込みを実施し、③給与ソフトによる給与計算も自動仕訳される。経理や会計事務所の仕事は手作業から大幅に開放され、従来の業務や職種は変わらざるを得ない。