ブラック企業ってなに?(2014_01月号)

ブラック企業ってなに?(2014_01月号)

特定社会保険労務士  今野 佳世子

最近、「ブラック企業」とレッテルを貼られると人材確保に支障がでるから労務管理体制をしっかりしたい、というご相談を受けます。

たしかに、新卒での就職活動をする学生の間では「サービス残業、長時間労働、低賃金、離職率を教えない、面接時の人事担当者の対応の悪さ」など幅広くとらえられ、不安を掻き立てる要素のひとつのようです。

「ブラック企業」という言葉は、2000年代半ば、IT企業に勤める若者がインターネット掲示板などで使い始めたものです。昨年頃から再び社会問題化したのは、NPO「POSSE」代表の今野晴貴氏らの活動によるといえます。今野氏は、「大卒を大量に正社員として採用するにもかかわらず、数年で意図的に大量に辞めさせる」という特徴があるとし、「選別型」と「使い捨て型」に分類しています。「選別型」は、大量採用のうえで、「使える者」だけを残し、他は自己都合退職を強要するもの。「使い捨て型」は、自己都合退職に追い込むためにパワハラ行為を繰り返し、従業員全体の待遇が将来にわたって改善されず離職率が高いものです。

また、「ブラック企業被害対策弁護団」は、「新興企業において、若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使い潰し、次々と離職に追い込む成長大企業」と定義しています。共通するのは、大量採用→過重労働(ここに未払い残業など違法な労働条件が発生しがち)→離職率の高さという、人材の使い捨ての常態化です。

厚生労働省は、2013年9月1日に「若者の『使い捨て』が疑われる企業」についての電話相談受付と集中監督を行いました。集中監督では、長時間労働、未払い残業、過重労働による健康障害防止措置の未実施が重点的に取り締まられましたが、これらは従来からのオーソドックスな点検項目です。労働基準監督署の権限はここまでです。「人材の使い捨てかどうか」は企業倫理の問題であり、「その人を育て、一緒に働いていくつもりかどうか」だと思います。

仕事とは厳しいもの。きつい、つらいことがあるだけで「ブラック企業」呼ばわりは、経営者や上司にとっては不本意です。その「きつさ」は、本人の明るい将来につながっているか、の1点で、自社の労務管理を点検されてはいかがでしょうか。