リクルートの魂(2013_5月号)

2013_05月号柴田先生 リクルートの魂(2013_5月号)

 

先月の日経新聞に“リクルートの子どもたち”という記事が連載された。リクルートの創業者である江副浩正氏は東大卒業の年に“大学新聞広告社”を創業、その後、“リクルート”に社名を変更して「就職情報」、「住宅情報」などの情報誌で新業態を次々と創出してきた。

リクルートが注目されるのは、その人材の多彩さだ。リクルートに入社した人の約半数は途中退職し(「卒業」というのだそうだが。)、退職した人の約3分の1は「社長」だ。社長でなくとも、楽天、ソフトバンク、LINE(ライン)など成長企業の中枢には必ずリクルート出身者がいる。リクルートが「日本最強のビジネススクール」と称される所以だ。

では何故このような人材がリクルートに育つのだろうか?リクルートの競争力の8割は採用にあるという。リクルートでは「寄らば大樹のタイプは採りません。組織に頼らず新しい価値を生み出す起業家タイプの学生を全力で採りにいく」のだそうだ。新入社員は①勉強せよ、②健康をつくれ、③社内で心の友をつくり、チームワークで大きな仕事をせよ、と檄を飛ばされる。一方、会社は「仕事に関する限り、新人社員も取締役も同じ情報を!」と経営情報の公開に徹し、かつ、社員が伝えたいどんな小さなことにも耳を傾けて聞くという双方向の社員コミュニケーションに注力している。

経営情報をどこまで公開すれば良いかとの質問を受けることがあるが、以前から私は「人事情報以外はすべて公開する方が良い」と答えている。不思議と経営情報を開示すればするほど社員は経営者と同じ感覚を持ち、社員でありながら経営者然として行動するからだ。

江副氏は「経営に関する情報と意思を正確に、迅速に社員に伝えること」は経営者にとって重要な仕事であると指摘している。その結果、リクルートの社員は「社員皆経営者主義」で若い頃から収支責任を負わされ「20代で貸借対照表、損益計算書がしっかり読めるようになる」のだそうだ。

江副氏は、「自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ」、「仕事を探せ!創り出せ!」といい、「高能率・高賃金」はリクルートの基本的経営理念の一つであるという。このようにして「個人の力を最大限に発揮させるビジネスモデル」こそがリクルートのリクルートたる所以なのだろう。

また、リクルートには「女性社員」という言葉は存在しない。別々なのはトイレだけ。後はすべて男性と同じなのだそうだ。リクルート事件の後、創業者の江副氏のあとを継いだ河野栄子氏は1兆8000億円の借金を返済するため豪腕を振るった。正社員の半分は女性、課長クラスの女性も20%に達するという。あさひ会計にも2人の元リク(リクルート出身者)がいる。