事業承継(2014_10月号)

あさひグループ代表 柴田健一事業承継(2014_10月号)

企業の目的は、売上を上げることでもなく、利益を上げることでもなく、「存続し続けること」である。そして、企業が存続し続けるためには、企業を取り巻く環境の変化に適応して企業自身が「変化し続ける」必要がある。

中小企業の場合、企業自身の変化の中でも最も困難なのが、経営者トップの交代、つまり事業承継である。後継経営者が経営ノウハウを知らない、金融機関や取引先・従業員から信頼を得られないといった問題が生じた場合、最悪、廃業に至ることさえある。

調査によると子息・子女が後継者となるケースが約4割で、娘婿や甥、一時的に配偶者が後継者となる場合を含めた親族が後継者となるケースは約6割である。この場合、事前に円滑な事業承継を準備しておかないと、親族間で先鋭的な対立が生じてお家騒動に発展し訴訟となったり、経営にタッチしていない相続人に株式が分散して経営に混乱を来たす場合が往々にしてある。

先代経営者の事業承継への取組みとしては、後継経営者に関して現役員への打診、従業員への打診、金融機関や取引先への事前説明、現役員の交代、従業員の世代交代、承継時期の公表、後継者へ権限の一部委譲、後継者への自社株譲渡などが挙げられる。一方、後継者も業界内での人脈作り、業界を超えた幅広い人脈作り、財務知識の習得、関連知識やスキルの習得等が必要となってくる。

あさひ会計でも数多くの事業承継に立ち会ってきたが、事業承継に起因して経営が混乱したり、訴訟になったり、結果的には経営が破綻してしまった事例をいくつか経験してきた。これらのケースで共通するのは、先代経営者と後継者との意思疎通が甚だ良くなかったという点である。

事業を「譲る側」にも、「譲られる側」にもどちらにも言い分はあるのだろうが、事業承継のイニシアティブを握っているのは「譲る側」であり責任は重い。「何のために経営をするのか」ということを後継者に諄々と言い伝え、経営理念を共有化することがまずは第一歩として重要だ。その上で現状を把握し、経営課題を明確にし、事業の方向性を定める必要がある。後継者に中期経営計画を策定させるのも経営のバトンタッチの手法としては良い方法だろう。どうしても意思の疎通がうまく行かない場合は、経営会議等を開催し第三者を介して意思疎通を図るしかない。

又、最近では後継経営者として親族以外の従業員や外部の経営経験者、あるいはM&Aなども増加傾向にあり検討に値する。なお、経営の事業承継と同時に財産の事業承継も準備する必要があり、あさひ会計では相続サポートセンターを中心に支援体制を整えている。
(参照資料:「事業承継ガイドライン」)