値上げは正しい経営戦略(2017年_9月号)

shibata201703値上げは正しい経営戦略(2017年_9月号)

日本では、少子化による人口減少で個人消費が減り、企業の売上は何もしなければマーケットの縮小分だけ減少することになる。需要が減り供給力との間にアンバランスが生じたところで企業は安売りに走ってしまい、日本経済はデフレから脱却できずにいる。

あさひ会計では、MQ会計の実践を推進しているが、どんな会社でもP(販売価格)を下げることが最も経営に打撃を与えることをMQ会計の感度分析が実証している。つまり、V(仕入価格)が上がるよりも、Q(販売数量)が減るよりも、F(固定費)が増加するよりもP(販売価格)が下がることは経営に甚大な影響を及ぼすのだ。まさに、日本経済は安売りに走ったため長い低迷を抜けられないでいるのが現状だ。

なぜ、P(販売価格)を下げてしまうのか。どうも経営者はP(販売価格)を下げれば売上が増加すると思い込んでいる節がある。もともと人口が減少しているのだから、あるいは企業ではJust in Time(必要なものを、必要なときに、必要な量だけ買う)が経営の鉄則なのだから、一時的にはともあれ、中長期的には値下げしても売上は増えない。一方、P(販売価格)がダウンすればその分そっくり利益が減り企業は苦境に陥ってしまう。これが日本の多くの中小企業の現状だ。中小企業は値下げ競争に絶対に巻き込まれてはならない。

反対に値上げをしたら売上は減るのか?た とえ売上が減ったとしても値上分がそっくり利益に上乗せになるので利益に対する影響は軽微だ。むしろ、正しい方法でP(販売価格)アップをすれば売上は増える。

『絶対儲かる“値上げ”のしくみ、教えます』(石原明著:ダイヤモンド社)には数々の値上げの成功事例と値上げの方法が懇切丁寧に説明されている。

 著者の石原氏は、まずは「その製品やサービスが持つ価値」をキッチリとお客様に伝えることが値上げのための基盤だと説いている。例えば、手間暇をかけた「職人性」、めったに無い「希少性」、専門家が選んだ「専門性」、長い歴史を持つ「歴史性」、開発に関わる「ストーリー性」、突出している「対応力」などなど14項目の「一般的価値」を示し、経営者は、まずは自社の製品・サービスの一般的価値を見つけ出しお客様に説明することだという。

加えて、お客様は「その製品やサービスを買うことで得られる価値=お客様固有の価値」を気に入って、あるいは理解して購入しているのであり、これらの得がたい体験、永遠に残る記憶、購買者の安心感、得られるステータスなどの「顧客特有の価値」を感じている顧客にはさらに高額であっても買っていただけるのだという。「値上げこそが正しい経営だ」と石原明氏はいう。