地方経済の今後(2015_2月号)

あさひグループ代表 柴田健一地方経済の今後(2015_2月号)

地方経済が盛り上がらない。急激な円安と原油価格の低下により、世界に輸出している大企業は過去最高に並ぶ利益を計上しているのだが、昨年4月の消費税引上げ以降、地方経済に明るさが見えない。その原因は、円安になって大企業は為替差益で利益を上げているものの、輸出数量が伸びず経済効果が地方に波及していないからだ。

近年日本の大企業は、円高、法人税率の高さ、諸外国の2倍の電力料金といった製造立地としての日本の居心地の悪さに工場を海外へ移転してしまっており、円安が起こっても海外に展開している工場をすぐ日本に戻すわけにもいかず、輸出数量がなかなか増えない。この産業空洞化問題に加え、人口減少問題、国及び地方の1000兆円を超える長期債務を抱える財政問題と相まって、日本経済の将来は描きにくい。

特に地方経済は、構造的に製造業が域外へ物を売って購買力を域内に引き込み、その購買力を卸小売業、サービス業が域内でぐるぐると回して業績を拡大するという枠組の下にあり、輸出数量が増えないことには地方の製造業が潤わず、製造業にゆとりが生まれなければ賃上げもままならず、地方の卸小売業やサービス業への購買力拡大の波及効果は望めない。むしろ円安は将来の原材料費を上昇させる要因となり、地方経済はさらに疲弊していく可能性が懸念される。

といって嘆いていてもしょうがない。サミュエル・スマイルズの「自助論」の精神が大英帝国の繁栄を導いたように、「確固とした目標に向かって粘り強く勤勉に歩む姿勢」だけが自らを助けるのだ。

地方経済を活発にするには、まずは域外の購買力を引き込むという意味では製造業を強くすることだ。山形にも国内のみならず海外へ輸出している優秀な製造業があるではないか。ミクロン精密㈱然り、㈱ウエノ然り。佐藤繊維㈱も地方から世界に羽ばたこうとしている。製造業には是非県外・国外への売上を増やして頂きたい。卸小売業も国外や県外に販路を伸ばすべきだ。通販やネットを使えば最小の投下資本で域外への売上を作ることができる。失敗を恐れないことだ。

さらにサービス業においては訪日外国人観光客(インバウンド)数は年々伸びており、2020年には2000万人が日本を訪れると予想されている。いまやインバウンドのモデルとなったニセコには外国人向けに5千万円から2億円のコンドミニアムが作られるという。幸い山形には美しい自然と美味しい食物と日本酒をはじめとする魅力的な物産が多々ある。日本ではこれから毎年20万人から30万人の人口が減っていく。地方においてこそ外国人観光客の誘致を推進しない手はない。