夜明け前(2012_9月号)

夜明け前(2012_9月号)

夜明け前(2012_9月号)

 

 

 

 

 

8月下旬、日経新聞に「農業再生、夜明け前」という記事が5回にわたり連載された。現在、自宅の近く、芸工大付近、西蔵王と3ヶ所に畑を持ち、趣味を越えて毎週せっせと事務所のスタッフに野菜を届け、給料の補充を試みている私としては見逃せない記事だった。

本当に日本の農業は“夜明け前”なのだろうか?これまで日本の農業については「高齢化が進み後継者がいない」「自給率が低く食料の6割を海外に依存している」とマスメディアからは食に対する悲観論が流され、食糧安保の上からも政治問題化し、年間何兆円もの農業振興のための予算が使われては、まったく成果が上がっていないのが現状なのに、日本の農業は本当に“夜明け前”なの?と少しばかり農業について調べてみた。

日本の農家の数は約200万戸あるが、そのうち年間売上額が100万円以下の農家は120万戸(60%)だが、生産額のシェアは5%を占めるのみで、ほとんどは赤字であり、見方を変えれば農家と言うより大規模な家庭菜園層と見ることもできる。私が仕事を辞めて、趣味である畑作りに専念すれば間違いなく、この層に入るのであろう。

一方、売上額が1,000万円以上の農家は14万戸(7%)であるが、彼らの生産額は、全農業生産額8兆円の60%を占めており、かつ、過去5年間で130%の売上成長率を遂げている。

他方、農業従事者の約60%が65歳以上で後継者がおらず、彼らの引退後は農地が放棄され、農業の衰退につながると農家の高齢化が問題視されている。確かに、西蔵王でもご近所で畑を作っていた農家の方々は次々と引退され、耕作放棄地は目に見えて拡大している。

しかし、サラリーマンは60歳や65歳になれば定年で退職するのであって、趣味的に農業を営む疑似農家の方が農業をお辞めになったからと言って農業の衰退につながる訳ではない。

つまり、年間売上額100万円以下の農家(ほとんどが兼業)や65歳以上の農業従事者を統計からはずして農業を工業と同じ視点から眺めてみると、日本のプロの農業人は少数精鋭となりつつ、毎年規模を拡大し、高成長を続けている大した集団なのである。

また、日本の食糧自給率が問題視されているが、カロリーで自給率を計算している国は日本しかなく、生産額(8兆円)で自給率を計算すれば66%となり、主要先進国の中で第3位とドイツや英国よりも自給率は高いのである。

NPO法人“農家のこせがれネットワーク”の代表宮治勇輔さんの話を聞く機会があった。日本の農業をかっこよくて・感動があって・稼げる3K 産業にするんだと何とも元気で、明るくて、知的な青年であった。日本の農業は本当に“夜明け前”なのかもしれない。