残された道はブランド化(2011_08月号)

柴田先生2011_08月号残された道はブランド化

日本経済はいま六重苦の中であえいでいる。

①円高・・・日本の輸出産業の円高限界点は85円から90円と言われており、70円台では産業が成り立たない。造船業界では受注が激減しており2013年には建造予定の船が枯渇する。

②電力不足・・・もともと日本の電気料金は海外の2倍以上と言われている。今後さらに福島原発の影響で電力料金の高騰が予想され、追い打ちをかける夏場・冬場の電力不足は企業活動の足かせとなって、日本は輸出立国どころかモノづくりの場として成り立たなくなる。東レは炭素繊維やリチウム電池用部材の工場を電気料金が日本の4割程度の韓国に新設する。
 米国では、電力事業は公益事業であるとしてリストラを認めないが、賃金は業界最低に抑えられている。又、送配電部門を分離して発電所間の競争を促し市場原理を働かせて電力料金を下げている。

③法人税・・・日本の法人税の実効税率(所得税・住民税などの実質合計)は39.54%と世界で最も高い。因みに日本と同じ輸出立国の韓国は27.5%、ドイツは30.18%である。現にシャープは08年3月期に1,600億円の税引前利益を上げて600億円の法人税を払ったが、サムスンは08年12月期に6,000億円の税引前利益を上げて700億円の法人税しか払っていない。シャープ並みの税負担なら2,000億円だからその差は1,400億円程になる。
サムスンは韓国政府から最新鋭の液晶工場(投資額は約1,500億円)を無償供与されたのに等しい。

④通商政策・・・自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)など貿易自由化の遅れから日本製品は関税が引下げられず、海外市場で競争上不利な戦いを強いられている。
しかし、現在の日本経済の状態で貿易自由化が進められれば、懸念される農作物だけでなく日本経済を支える中小企業の崩壊を招くとも言われている。特に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は2015年にサービスまで含めた全面自由化となっているので、例えば、本人負担の少ない日本の医療制度も米国流の高い負担を強いる制度に激変してしまう恐れもある。

⑤雇用形態の規制・・・特に製造業の雇用形態を巡る規制強化は、日本企業の自由度を制約し、柔軟性を失わせている。

⑥温暖化ガス削減目標・・・日本政府は温暖化ガス25%削減の旗を降ろせないでいる。ツケは結局民間企業に回ってくるのだろうか。

もうここまできたら、日本は海外で価格競争をしない方がいい。大量販売などと考えない方がいい。日本自体がもうブランドなのだから、農産物をはじめ、全ての分野で製品は勿論のこと、部品であれ、原材料であれ本当の優れものを高価格で世界に供給すればいい。その為にはサービスを含め世界が真似を出来ないものを作らなければならない。日本なら可能だ。