経営の王道(2015_1月号)

あさひグループ代表 柴田健一経営の王道(2015_1月号)

経営にとって最も大切なことは“存続し続けること”である。存続し続けてこそ「社員」の生活を守り、「お客様」への責任を全うし、「地域」への貢献も可能となる。

新規にクライアントとなったある社長様から「利益が出ているのに借金が減らないのは何故だ?」との質問を頂いた。調べてみると節税するために毎年利益を超える額の保険に入っており、年によっては保険金を払うために借金をしなければならない時さえあった。

保険には①もしものときの事業保障目的、②役員退職金の準備目的、③相続税対策目的等いくつかの目的があるが、④節税だけが目的の保険は本末転倒と私は思っている。現金を使わない節税は徹底的に行わなければならないが、キャッシュ・アウトが伴なう節税は長い目で見れば企業の体力を弱めてしまう。

企業が存続し続けるためには、内部留保を蓄積し、自己資本比率を高めなければならない。自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)の算式で表され、自己資本の比率が高まれば他人資本の比率は下がる関係にある。自己資本比率が低ければそれだけ他人資本の影響を受けることになり経営は不安定にならざるを得ない。そして、自己資本比率を高めるには原理的には①増資をするか、②税金を払って税引き後の利益を内部留保として蓄積するしかないのである。
TKCの経営指標のデータに拠れば赤字企業の自己資本比率は△4%、黒字企業で27%、優良企業(黒字企業の上位15%)は53%となっている。一般に自己資本比率が40%以上なら倒産しにくいといわれており、まずは自己資本比率40%確保が目標だ。

企業を取り巻く環境は厳しい。①リーマンショックのような不況がいつ襲ってくるかわからない。②お客様のニーズを満たすためには定期的な新規投資が必要となる。③将来的には世の中の変化に対応して新規事業に進出しなければならないときも出てくる。新規事業は、最初は赤字になるが、そのための財源確保も必要だ。④これからの世の中は後継者不在等からM&A(事業買収)のチャンスが数多く出てくるが、その場合は一気に資金が必要となる。また、⑤中小企業なら相続税対策も必要だ。内部留保が充分あればオーナー株主に相続税充当の為の退職金支払も可能だ。場合によっては相続に際してオーナー所有の株式を一部買い取ることも必要となる。

いずれにしろ、企業を存続させ続けるためには、①利益を上げる(稲盛和夫氏は営業利益率10%を目標にしろという)。②税金を払う(2、3年後には法人税率は20%台になる)。③税引後利益を内部留保として積み上げ、自己資本比率を高める(理想は70%)。
これが経営の王道と思うのである。