経営者保証(2014_7月号)

あさひグループ代表 柴田健一経営者保証(2014_7月号)

中小企業の経営者にとっては、金融機関からの借入金等に対する個人保証は万が一の時を考えると非常に重い問題だ。銀行からの借入金を返済できず経営者一家が夜逃げをしたり、家屋敷を失ったり、自己破産したりと経営が窮地に陥った場合は事業再生どころか、経営者家族の人生までをも狂わせてしまう。

このため、中小企業庁と金融庁は経営者保証に依存しない融資を促進するために「経営者保証に関するガイドライン」を策定・公表し、平成26年2月から適用することとした。さらに金融庁は、中小企業の経営者が思い切った事業展開や早期の事業再生等の取り組みを促進するための参考にと、「経営者保証に依存しない融資の一層の促進」、「適切な保証金額の設定」、「既存の保証契約の適切な見直し」、「保証債務の整理」の4項目について事例集を公表し、金融機関等がガイドラインを積極的に活用し、中小企業に対する経営支援を広く実践することを後押している。

とはいえ、金融機関のハードルは高い。中小企業に融資をして焦げ付いた場合の損害は金融機関が負うわけであり、また、債権者である金融機関が経営者自身の経営責任を問わなければ(経営者保証に基づく債権回収の実行をしなければ)株主訴訟のリスクもあるとして金融機関は消極的だ。

そこで金融庁は「金融機関向けの監督指針」を改正し、当ガイドラインの遵守を求めるとともに、金融機関の取組体制・取組状況等に重大な問題があると認められる場合は業務改善命令を発出するとしている。

一方、経営者側にも「経営者保証」なしに融資を受けるには以下の対応が求められる。

①法人と経営者との関係の明確な区分・分離・・・資金や資産の所有等で法人・個人の一体性の解消。つまり、公私混同をしてはならないということである。

②財政基盤の強化・・・財務状況および経営成績の改善を通じた返済能力の向上等により信用力を強化。例えば、節税ばかりに気をとらわれると自己資本比率を上げられずに企業の信用力は向上しない。

③適時適切な情報開示・・・金融機関に対する正確な財務状況、事業計画、業績見通しの定期的な報告。又、出来れば外部専門家(会計事務所等)による情報の検証。つまり、金融機関との良好なリレーションシップが求められている。

金融機関としても単なる金貸業としての存在なのか、地元の中小企業を育成する経営支援業としての存在になるのか、また、企業としても私的財産を増やすための存在なのか、地域になくてはならない社会的存在になるのかが問われているといえる。