金融円滑化法終了の波紋(2012_10月号)

柴田先生2012_10月号

 

 

 

 

 金融円滑化法終了の波紋

生産現場がおかしい。一部の企業を除き受注が急減している。今後さらに、尖閣諸島の国有化に端を発した中国の日本封じの影響が加わる。経済の先行きに細心の警戒が必要だ。

このような最悪の状況下で「金融円滑化法」が平成25年3月末で終了する。金融円滑化法は平成21年12月、鳩山政権下での亀井静香元金融相の肝いりで、リーマン・ショック後の金融機関による貸し剥がしや貸し渋りの対策として施行された。中小企業から元本や利息の返済猶予の要請があった場合には、金融機関はそれに応じるよう努力義務を課した法律である。同法は一時的には効果があったものの、貸付先企業の根源的な問題を解決しないまま2回の延長がなされてしまった。来年3月末での同法終了時にはこれらの債権が一気に不良債権化して倒産件数が急増する恐れが高まっている。

金融円滑化法により返済猶予を受けている中小企業は平成24年3月末現在で約40~50万社、その融資残高は約80兆円で、貸し手の7割が地銀や信金の地域金融機関である。

金融円滑化法を利用している企業のうち、返済猶予期限が切れる来年4月以降、自力で借入金の返済が出来る企業は15~20%と言われている。残りの企業は、自主再生であれ、法的再生であれ、抜本的な経営改善いわゆる事業再生に取り掛かる必要がある。最悪のシナリオとなる倒産企業は5~6万社との見方もある。今や中小企業の大量倒産の問題にとどまらず、地域金融機関の倒産の危険すらある。

今、各金融機関内では貸付先企業を支援するか否かの検討が始まっている。企業側としては一刻も早く、経営改善計画書を作成してメインバンクとの協議を開始する必要があろう。経営計画書の審査は厳しくなってくる。鉛筆をなめただけの数値計画書では通用しない。まずは資金繰り表から資金繰りの限界を確認しつつ、経営要素ごとの改善項目をまとめ、来年4月以降の利益計画をたて、収益弁済による債務償還計画を立てなければならない。悩みぬいた、経営者の魂の籠った計画書を作成し、相手の心を揺さぶらなければならない。

場合によっては、法的事業再生が必要になってくるかもしれない。①民事再生法では経営者が交替せずに再建を目指すことが出来る。「再建型倒産手続き」と言われるように、債務者が事業を継続しながら債務を弁済していく。中小企業の法的再生においては、99%がこの手法を採用している。この場合スポンサーがいるかどうかが成功のカギになっているようだ。

会社更生法は管財人の管理下で事業再生を目指す法律である。担保権に別除権が認められず、経営者が交替する点が特徴だ。しかし、2009年以降DIP型会社更生法の導入により、経営者が交替しない道が開けた。