アジアの市場 ①タイ(2016_3月号)

201510柴田先生アジアの市場①タイ(2016_3月号)

去る2月8日、「アジアの市場と髙島屋の戦略」と題して、来年の秋に開店予定のタイ、サイアム髙島屋副社長の清水朗寛氏に講演をして頂いた。
世界のGDPに占めるアジア(先進国を除く)のGDPの割合は2010年の27.9%から2050年には48.1%へと世界経済の約半分を占めるまで増大する。一方、日本の人口は2010年の1億2,806万人から2060年には8,674万人(67.7%)へと減少し、日本のGDPの世界全体に占める割合も5.8%から1.9%へ減少する。つまり、GDP比で見れば40年足らずで日本経済は3分の1になり、日本を除くアジアの経済は1.7倍になると予測されている。

この動きはすでに始まっており、清水氏によれば髙島屋の日本国内18店舗の売上げは1兆円から8千億円と減少しており、かつ、日本国内18店舗の利益はシンガポール髙島屋1店舗の利益と同等になっているという。

さて、髙島屋が進出するタイは日本の1.5倍の領土と7千万人の人口を持ち、国王が指導する仏教国である。失業率は0.4%で30歳代から60歳代までの収入は同じで、お金持ちの家に生まれると一生お金持ちという階級社会である。貴族と財閥を中心としたタイの富裕層は人口の15%で、イギリスで教育を受け、アメリカでビジネスを学んでおり、この国の文化と経済を担っている。

富裕層は美術品、宝石、レストラン、食品、車などなど世界中の一流品になじんでおり、日本人以上に日本の料理店に精通していたりして、価値あるものにはお金を惜しまない。しかし、タイにはスーパーレベルのものは揃っているが、本当に良いもの、何かにこだわっている所謂ホンモノは無いというのである。髙島屋はこれらの富裕層をターゲットにビジネスを展開しようとしている。また、タイは観光立国で年間1,500万人の観光客が訪れており、サイアム髙島屋の売上げの3割は外国人を想定している。販売価格も日本国内価格の2.5倍だ。

タイには製造業を中心に5,000社が進出しており5万人の日本人が駐在している。このほか物価水準が日本の3分の1ということもあり、5万人のリタイアした年金生活者がいるという。残念ながらこれらの日本人はサイアム髙島屋のターゲットには入っていない。

日本はまだまだ知られていない。清水氏は、良いもの、ホンモノであれば顧客は山ほどいるから是非、山形からも出品してほしいという。出品が揃えばタイの髙島屋に山形コーナーも考えられる。日本酒をはじめ、牛肉、米、果実、お菓子、食品、刃物、繊維など山形には埋もれた一流品が沢山ある。雪をテーマにした観光を売るのもいい。山形の企業家の皆様には是非アジア進出を果たして頂きたい。

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