マイナス金利って(2016_6月号)

マイナス金利って(2016_6月号)

監査1部  渡邉 沙瑛子

日本の新たな金融政策として2月16日からマイナス金利が導入されました。
マイナス金利といわれると、これからは銀行にお金を預けておくと利息がとられてお金が減ってしまうの?と思われる方がいらっしゃるようですが、今回のマイナス金利はあくまでも「日本銀行と民間の銀行(市中銀行)」との間の取引の金利を指しています。
マイナス金利を知るには、知っていそうで意外と知らない日銀と市中銀行の関係性がポイントです。

【日銀と市中銀行の関係性】
日銀の役割の1つが「銀行の銀行」です。市中銀行は日銀の当座預金に、保有する預金の一定割合を預け入れなければなりません。もし、必要準備額を預け入れていなければ「過怠金」を支払わなければならないというペナルティもあります。これを「準備預金制度」といいます。今回話題となっているマイナス金利とは、この日銀当座預金に対する金利です。
ところで、日銀当座預金に金利がつくようになったのは割と最近の話です。2008年10月に補完当座預金制度が導入されたことにより、必要準備預金額を超える準備預金の保有(いわゆる超過準備額)に対して、日銀が0.1%の利息を支払うようになりました。

そのため、銀行に余剰資金があれば、日銀当座預金にお金を預けておくだけで、貸倒等のリスクなく金利収入を得ることができていました。それが今回の金融緩和により、金利が-0.1%となったのです。つまり、必要準備額よりも多くお金を預けていれば、日銀に金利を支払わなければなりません。
金融機関としては、日銀にお金をあたためて利息を支払うよりは、企業などに貸し出して利息収入を得たり、投資をして運用収入を得たりしたいと考えるでしょう。
市場にお金を出回らせ、企業の投資を後押しし、景気の回復につなげたいというのが日銀の思惑なのです。

【私達の生活への影響は?】
では実際に私たちの生活にはどのような影響がでているのでしょうか?現在様々な金利が低下しています。銀行の企業向け貸出金利や住宅ローン金利は過去最低水準です。
一方で普通預金金利も低下しています。メガバンク3行は普通預金金利を0.02%から0.001%へ引き下げました。10万円を1年間預け入れた場合、単純計算でやっと1円の利息です。

マイナス金利が導入されて3か月が経過しましたが、消費や投資は依然として低迷したままといいます。
景気が回復していくのかを含め、どのような影響を私たちの生活にあたえるのか、マイナス金利を2014年から先駆けて導入しているヨーロッパの今後の景気の行く末にも注目が必要です。

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