太陽光発電の余剰電力の売却収入は、何所得?(2012_3月号)

太陽光発電の余剰電力の売却収入は、何所得?

監査4部  税理士 髙橋 克徳

先日、友人たちと飲んだ時のこと。「小さな子供がいるので、放射能問題から目が離せない」という話に始まり、原発問題について、さらにクリーンエネルギー化への期待へと、話題は広がっていきました。

クリーンエネルギーと聞いて、真っ先に頭に浮かぶのは太陽光発電ですが、友人から「自宅の屋根で発電した電気を電力会社に売ったとしたら、税金はかかるのか?」と質問をされました。

“利益が生じれば課税される”という課税の原則から考えますと、売電で利益が生じたとすれば、当然課税対象ということになります。では、どのような流れで所得が算定されるのでしょうか。そして、確定申告をする必要はあるのでしょうか。

給与所得者が太陽光発電設備を家事用資産として使用し、その余剰電力を売却しているような場合には、“雑所得”に該当し、課税の対象となります。

余剰電力の売却収入-必要経費=雑所得

必要経費とは設備投資額のことであり、太陽電池モジュールやパワーコンディショナー等の設置費用に、償却率を乗じたものが一年当たりの減価償却費となります。そして、必要経費に算入できる減価償却費の額は、総発電量に占める売電量の割合分、ということになります。(国税庁HPによると“太陽光発電設備”の耐用年数は、機械装置17年(償却率0.059)に該当します。)

事例として、300万円の太陽光発電設備を購入したとします。国による【住宅用太陽光発電システムの設置に対する補助金制度*】では、最大出力1kW当たり48,000円の補助が受けられますので、各自治体の補助金制度をあわせて利用して、合計30万円の補助金を受けとったとします。補助金は設備投資額から控除されるため、減価償却の対象となるのは270万円です。年間の売電額が20万円あり、売電割合が70%だったと仮定して計算すると、課税対象となる雑所得は8万8,490円になります。

* 国の補助金制度の申請期限は、平成24年3月30日となっています。詳細は、太陽光発電普及拡大センター(J-PEC )のHPをご覧ください。http://www.j-pec.or.jp/

事例

給与を1カ所から受けていて、給与以外の所得の合計額が20万円以下の場合、確定申告の必要はありませんので、この事例の場合は、申告不要です。
ただし、医療費控除や寄付金控除などで還付を受けようとする場合で、「確定申告する」とした場合は、たとえ少額であってもすべての所得を申告する必要がありますので、ご注意ください。

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