株主構成は長期的視点で(2017_3月号)

株主構成は長期的視点で(2017_3月号)

公認会計士・税理士 田牧 大祐

会計事務所では、経営者、オーナーの方から様々な相談を受けますが、意外に多いのが少数株主、外部株主(親族外株主)に関する相談です。相談を受けるのは、事業承継のタイミングです。普段から気にはしているものの、先延ばしにしていた少数株主問題を後継者を決めたタイミングでいよいよ解決しなければならなくなります。
よくある問題には下記のようなものがあります。

事例1)会社設立に7人の発起人が必要だった時代に設立した会社で、名義を借りた株主であったが、株主名簿が名義人のままになっているが、どうしたらよいか。
対策)名義株主本人より名義株主確認書を入手し、株主名簿を本来の株主に変更する。

事例2)招集通知が届かない長期間所在不明の株主がいるがどうしたらよいか。
対策)5年以上継続して招集通知が不到達であることを証明する返戻封筒等と一定の手続により売却処分することが可能になります。

事例3)退職する従業員から会社が株式を随時買い取りし、仮払金勘定にしていたが、今後も続けてよいか。
対策)会社法に定める自己株式の取得手続が必要になります。

事例4)従業員に一部株式を保有させているが、退職時には株式を返してもらう制度にしたい。
対策)持株会の導入や取得条項付株式を活用する。

この他、業績が好調で、純資産の金額が大きくなり、経営上は望ましいが、株式の評価額※が高くなるという問題を抱える事例も多くあります。株式の移動はこつこつと長期に対策することが、もっとも効果的です。

少数株主対策、株価対策のためにも、5年後、10年後の株主構成を想像してみてはいかがでしょうか。

※株式の評価額や株式譲渡に関する課税は、買い手(法人か個人か、個人も少数(外部)株主か主たる株主(同族株主)か)により、変わりますのでご相談ください。

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