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パラダイムシフト(2020年_8月号)

 

経済財政運営と改革の基本方針、通称「骨太方針」は、今年は例年より遅れて7月17日に閣議決定されている。骨太方針は、翌年度の予算編成、税制、政策の基本方針であるため、毎年、発表後に全文に目を通している。税制、法改正の今後推し進められる政策、その背景が理解できる。骨太方針2020では、ポストコロナを見据え、新しい未来を先取りした取組が多く示されている。

コロナによってもたらされたリスク、変化の行きつく先であるニューノーマル「新たな日常」、そのキーワードは一言でいうとデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)である。

基本方針として、①デジタルニューディール(デジタル・ガバメント構築、デジタル化への集中投資と環境整備)、②デジタル化、イノベーション、など無形資産への投資強化、③サプライチェーンの多元化、国内回帰(just-in-caseに対応)、など、10年かかる変革を一気に進めるとしている。

基本方針の背景を読むと、これまでの成功体験からの脱却ともいえる。これまで効率化、生産性を上げてきたjust-in-timeの否定、中国への資材依存リスク顕在化による生産拠点の国内回帰など。米中摩擦問題もあり、国際取引のリスクも顕在化している。そしてデジタル化は先進諸国の後塵を拝していることが明白、とある。

先日、熊本の会計事務所の所長から、利用している中国企業の記帳代行サービスがコロナの影響でストップし、自社でやらざるを得なくなり大変なことになったと電話があった。

この業務をRPAに置き換えたいという。資材や原料の生産拠点の問題ではない。小さな地方の会計事務所でさえ、業務の国内回帰とDXを検討している。さらに、大手監査法人のパートナーから聞いた話はこうだ。テレワークの導入で、オフィス出勤は週1回程度になり、クライアントへの訪問も直接行って、直接帰る「直行直帰」のスタイルになった。リモートで問題なく動いているという。また、東京オフィスは賃料の高さから、もともとスタッフの人数の6割しか席数がなかったのだが、オフィスへの出勤が元来の1/5となった今、本当に必要な席数はスタッフの数の15%とのことだ。ニューノーマルを感じさせる。

さらに、2023年10月から始まるインボイス制度(適格請求書等保存方式)でも電子化に向けた動きも始まり、請求書の完全電子化も遠い未来の話ではない。書面による受取りには場所が必要であるが、電子化により、受取りするオフィス、受取り時間指定、受取る人、その先の社内での書類の移動は不要となり、時間差もない。

今後あらゆる業種でリモート化が進み、教育分野、自治体も変わる。政策の後押しも加わり、オフィスの在り方、働き方の見直し、あらゆる分野でDXが起きるであろう。生産拠点の国内回帰、サプライチェーン見直し、国際取引の在り方も変わる。

新たな未来において、これまでの常識や成功体験は通じない。パラダイムシフトが起きている。

 

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