再確認 交際費等の税務上の取り扱い ~除かれる飲食費は~(2018年_8月号)

監査6部 税理士 松田 茂

 
平成30年度税制改正により、法人に係る交際費課税の取り扱いが2年延長されています。改めて制度の概要を確認します。

<制限される税務上の“交際費等”>
法人税の計算上、“交際費等”は経費として認められる額(損金)に制限が設けられています。
この“交際費等”とは「得意先」、「仕入れ先」、「その法人の株主」、「その法人の役員」、「その法人の従業員」に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用を指します。そのため従業員のために支出する費用であっても、いわゆる“社内交際費”についてはこの“交際費等”に該当します。

<中小法人は年800万円まで>
損金として認められる額は下表のとおり、中小法人(資本金1億円以下の法人で資本金5億円以上の法人の子法人等を除く)であれば、支出交際費等の額の合計額のうち年800万円まで(事業年度が1年未満の場合には月数換算します)です。規定上、接待飲食費の50%相当額といずれかの選択となっていますが、実務では、年800万円を限度とするケースがほとんどです。
他方、中小法人以外は、接待飲食費の50%相当額しか認められません。

<除かれる5,000円以下の飲食費>
ところで、“交際費等”から除外する飲食費として『1人当たり5,000円以下の飲食費』があります。ただし、この飲食代等には社内飲食費は含まれていないため、たとえ1人当たり5,000円以下であっても“交際費等”から除外することはできません。
 飲食費に係る税務の取り扱いは以下のとおりです。

接待飲食費については以下の事項を記載した書類を保存する必要があります。
・飲食費に係る飲食等のあった年月日
・飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
・飲食費の額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
・その飲食等に参加した者の数
・その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項
平成30年度税制改正により、これらの交際費等の課税に関する規定が2年間延長されました。この延長により、引き続き交際費等の支出の把握、さらに接待飲食費の50%相当額を限度とする場合や5,000円以下の飲食費を交際費等から除外するためには、一定の書類の作成と保存に留意する必要があります。

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