雑誌の読み放題サービス(2017_3月号)

雑誌の読み放題サービス(2017_3月号)

株式会社旭ブレインズ 中小企業診断士  倉金 徹

昨年末、雑誌の売り上げが41年ぶりに書籍を下回るというニュースがありました。公益財団法人全国出版協会・出版科学研究所が2016年1月から11月の販売実績をもとに算出した出版物推定販売金額(電子出版を除く)で判明したとのことです。雑誌の販売金額が減少している原因のひとつとして、電子媒体による「雑誌の読み放題サービス」の普及があるようです。

「雑誌の読み放題サービス」とは、毎月一定額の利用料金を支払うことで、登録されている雑誌であればインターネットに接続したパソコン・スマートフォン・タブレット端末等で何冊でも電子媒体で閲覧できるというサービスです。NTTドコモ「dマガジン」、「Yahoo!ブックストア読み放題」など、すでに10種類以上のサービスが提供されています。利用料金は、アマゾンが提供する「Kindle Unlimited読み放題」月額980円(税込)をはじめ、「楽天マガジン」月額380円(税抜)、さらには無料!までと幅広く、読み放題の対象となる登録雑誌数も数十冊から数万冊まで様々です。この中からどれか一つのサービスさえ契約してしまえば後は読み放題なのですが、果たしてどのサービスを選ぶべきか、実に迷うところです。

利用料金が安くて登録雑誌数が多いサービスを選択するのが無難ですが、できれば自分に合ったものを選んだ方がよいのは言うまでもありません。サービスを選ぶ際の着眼点としては、まず自分が読みたい雑誌があるか、ビジネス誌やコミックなど特定のジャンルが充実しているか、自分だけの本棚がつくれたり検索できたりアプリの使い勝手がよいか、オススメ記事の提案など新しい雑誌との出会いがあるか(セレンディピティ)、ランキング表示機能があって情報収集に役立つか、バックナンバーは読めるか、インターネットに接続できないオフライン環境でも利用可能か、同時に利用できる端末は何台か、新刊が自動的にダウンロードされるか、…等々。
とにかく選択肢が多すぎ…。

「人間はあまりに選択肢が多いと逆に『選択』 ができなくなる」(シーナ・アイエンガー)

どのサービスでも無料お試し期間が1ヶ月程度ありますので、とりあえず知名度が高いものから順番に試してみて、サービスを気に入ったところで契約するのが手っ取り早いかもしれません。

ただし、一部のページしか読めない、最新号もしくはバックナンバーが読めない、永久保存できず一定期間が過ぎると読めなくなる、画面を拡大しないと細かい文字が読めない、印刷できないなどの制約がありますので過度な期待は禁物です。
電子媒体による「雑誌の読み放題サービス」は暇つぶし目的でパラパラ見るような雑誌には適していますが、一覧で大きく見たい、全部読みたい、保存しておきたい、という雑誌には適していません。電子媒体と紙媒体では一長一短ありますので上手に使い分けてみてはいかがでしょうか。

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