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シベール(2019年_2月号)

 2019年1月17日㈱シベールが民事再生手続きの申立てをした。
シベールが2005年7月29日に東京証券取引所の株式市場ジャスダックに上場した際は、私自身が会計監査人として関わっており、残念としか言いようがない。

 上場当時(2005年8月期)、シベールの売上高は38.6億円、経常利益は5.4億円あり、上場企業に値する立派な業績を上げていた。
それが直前期(2018年8月期)には売上高26.7億円、経常損失1.6億円、当期純損失3億円と大幅に落ち込んでしまったのだが、一体シベールの中で何が起きていたのだろうか?

 当時のシベールは、ラスクの総売上高に占める割合が55.1%、通信販売の総売上高に占める割合は52.6%であり、生産を機械化・ライン化して製造コストを下げたラスクを販売コストの低い通信販売で売上げることにより大きな利益を得ていたのだ。
それが直近年度ではラスクの総売上高に占める割合は35.9%に、通信販売の総売上高に占める割合は24.6%と激減している。
売上高自体が上場時に比べて69.2%と大幅に減少し、さらに儲けの源泉だったラスクの通信販売が落ち込んだのがシベール低迷の原因だと分析できる。

 ではなぜシベールのラスクは売上が落込んでしまったのだろうか?ラスク専門店の㈱グランバー東京ラスクではラスクだけで売上高は30億円を超えているという。
又、高崎市が本社でラスクを主力商品としている㈱原田・ガトーフェスタハラダの売上高は実に190億円に達している。

 かつて人気作家だった橋田壽賀子さんに「日本一美味しいラスク」と言わしめたシベールの苦境は、競合他社の商品のラインアップと比べシベールのラスクは華やかさがなく単調であり、商品的魅力を訴求できなかったためだというしかない。
創業者である熊谷眞一氏が経営の第一線を退いてしまい、氏の研ぎ澄まされた感性を継承できなかったことが低迷の遠因だったようにも思える。

パンやケーキは鮮度を必要とし通信販売には不向きで、大きな売上を上げることは困難だ。
ラスクこそがシベールの命であり、利益の源泉だったのだ。そのラスクの商品開発を怠ったことに低迷のすべての原因がある。

 ところでシベールの2018年12月28日付けの第1四半期決算短信には「今後も安定的な資金調達が見込まれることから、継続企業の前提に…不確実性は認められない」と記載されている。
しかし、その20日後の1月17日に民事再生法適用の申請が出されており、この間に株式を購入したり、取引をした業者の方々には「安定的な資金の調達が見込まれる」の根拠は何だったのか、あるいは会社として昨年末には民事再生法の申請が念頭になかったのか疑問に思うところかもしれない。

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