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地方税の代わりは寄付で(2017年_12月号)

公認会計士・税理士 田牧 大祐

毎年11月11日から17日は「税を考える週間」とされている。今年気になった税に関連するニュースを思い起こしてみると、なんといっても、6月26日に所有者不明土地問題研究会※から発表された「九州よりも広い土地が、相続未登記等で所有者不明の可能性」というニュースである。全国563市町村の62万筆の調査結果をサンプルとした推計であるが、法務省情報の自然人が所有する土地で最後の登記から50年を経過した土地は、大都市で6.6%、中小都市・中山間地域で26.6%とされ、地方だけの問題ではないことにも驚かされた。

老朽家屋の問題、災害地の復旧障害等につながる大きな問題であるが、やはり気になったのは固定資産税の徴収問題である。固定資産税は、地方税において、住民税と並ぶ最も大きな税収であり、景気に影響を受けにくい安定した税収という意味でも重要である。
特に、市街地をはずれた土地では、固定資産税や管理負担も含めて負債としての側面が強くなり、今後ますます相続放棄や未登記が進み、徴収困難が増加すると思われる(自治体は、固定資産税が入らなくなるため土地の寄付は基本的に受け入れしない)。

そういえば以前・・・と『新聞資料集成-大正の米沢-』米沢市史編集資料(米沢市立図書館販売)を見返すと、大正15年9月10日の米沢新聞の記事が面白かった。
「戸数割代りに市に寄付」という記事で、上杉伯家の本邸閉鎖後、伯爵は東京に引き上げることになり、米沢市の戸数割付加税(所得や住居坪数等による賦課課税)が10月以降徴収されないことになり、市長等が同家に陳情云々とあり、市長等が市の減収の苦痛を訴え云々。同家の相談役の言葉として、従来の戸数割の負担に相当する金額を寄付することに内定してあると、記事を締めくくっている。
現在活況のふるさと納税は、自治体への寄付であり、大正時代も今も、自治体の税の代わりに寄付にて賄なおうという同じ姿を感じ、新聞記事から大正15年9月に米沢市長のほっと胸をなでおろした姿に思いを馳せた11月であった。

※ 国土交通省の管轄一般財団法人国土計画協会内の研究会

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