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年次有給休暇を5日取得させると(2019年_10月号)

いまの社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 今野 佳世子

 
 今年の4月1日に労働基準法が改正され、年次有給休暇が10日以上発生する従業員には、1年間に5日を確実に取得させる義務が事業主に課されました。年休取得促進は働き方改革のひとつに挙げられ、政府は、2020年までに年休取得率を70%にしたいとしています。2017年度の実績は51.5%です。
 そこで、年休取得を促進した場合のインパクトを試算しました。(実際は関係する要素は様々ですが、思い切って単純化しております。)

【前提】
・1日8時間労働、年間所定労働日数260日
・従業員100人全員が、毎年20日の年休が発生する勤続6年6ヶ月以上の者
・現在、年休は全く取得していない

<全員が年間5日を取得>
100人が5日ずつ休むと500日分の人手が不足します。
対策① 増員 2人
500日÷1人の実働日数255日(所定労働日数-年休5日)=1.96…
対策② 同僚が残業
仮に山形県の最低賃金(H31.10~)で計算すると、954円(最低賃金763円×1.25)×8時間×500日=3,816,000円の時間外手当が発生します。
もし月額200,000円の方に残業してもらうとすると、時間外手当単価は1,443円となり、×8時間×500日=5,772,000円の時間外手当が必要となります。

以下、2017年度実績の平均である51.1%と、
政府目標の70%の場合を試算してみます。

<全員が51.1%(11日)取得>
100人×11日=1,100日
対策① 増員 5人
1,100日÷1人の実働日数249日=4.417…
対策② 同僚が残業
最低賃金なら954円×8時間×1,100日
=8,395,200円の時間外手当発生
月額200,000円の同僚を残業させれば
1,443円×8時間×1,100日=12,698,400円の時間外手当発生

<全員が70%(14日)取得>
100人×14日=1,400日
対策① 増員 6人
1,400日÷1人の実働日数246日=5.691…
対策② 同僚が残業
最低賃金なら954円×8時間×1,400日
=10,684,800円の時間外手当発生
月額200,000円の同僚を残業させれば
1,443円×8時間×1,400日=16,161,600円の時間外手当発生

 当然、増員すれば人件費が増え、残業させれば新たな時間外労働時間上限規制をクリアできるのか注意が必要となります。今後、最低賃金は全国加重平均1,000円となるまで毎年3%ずつ上がり、人件費を押し上げていくことでしょう。
 労働基準法の改正ではありますが、本当に必要な対応は、業務の効率を高める取り組みであるといえます。

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