「真実はミクロの中にしかない」とはジャーナリスト財部誠一氏の言葉だ。マクロの経済分析では景気の現状を追認するしか出来ない。先行きを正しく予測するには、リアリティのある現状認識、つまり現場で起きていることの底流を知ることにつきるという。
その上で、アベノミクスの成果は金融政策によっているのではなく、外交に由来しているという。つまり、アメリカが円安を容認しているからこそ、株価が8,000円から16,000円近くまで暴騰(現在は調整局面にあるが)したのであって、日本の金融緩和政策は間違いなく為替相場を操作しているにもかかわらず、G8でもドイツがオフレコで悪態をついたくらいで誰も文句を言わなかったのだという。
アメリカは日本の為替レート95円~100円を容認しており、これが一年間続けば日本はデフレ脱却が可能となる。
TPPも然りである。安倍首相の訪米に際しては空港に出迎えもない、歓迎のレセプションもないというオバマ大統領の冷たい素振りとは裏腹に、農産物の例外というお土産は用意されており、日本の政府関係者には事前に知らされていたという。
では何故アメリカは日本にこれほどまで譲歩するのだろうか。「最低でも県外」と言っていた鳩山元首相は「勉強すればするほど」と沖縄の基地の必要性を認めざるを得なかったように、アメリカは世界戦略上、地政学上東アジアのヘソとも言うべき沖縄に基地を必要としている。
これこそが日本のアメリカに対する円安容認、TPPの例外項目等の対価なのだ。
だからこそ、自民党は参院選の選挙公約で不利と判りながら普天間基地の辺野古への移転を掲げているのである。残念ながら「アメリカが必要としていること以外のことは起こらない」のが今の日本の姿なのだという。
ビジネス界のもう1つの底流は「スマホ」と「コンビニ」の動きだ。今、若い人は家電がほしい時は量販店に行って品物を見定め、スマホで価格.comに繋いで一番安い店を見つけて注文する。ヤマダ電機やビックカメラは無料のショールームになってしまっているというのである。救いは中高年齢者がスマホを使いこなせないことだが、若者は確実に年老いていくのであって家電量販店はこのままでは厳しい。しかも、スマホの機能のビジネス展開は家電業界に限ったことではない。
ローソンはチケット販売では日本有数の販売数を誇っているが、さらにCD、DVD、写真集、グッズを販売しようとしており、音楽業界や出版業界では無視できない存在となっている。近い将来、入手まで数日間待てるものはスマホで注文し、今すぐほしいものはコンビニで買うという時代が来るのかもしれない。