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最後の盛和塾(2019年_8月号)


 
 京セラの創業者である稲盛和夫氏が塾長を務める経営者の勉強会「盛和塾」が、2019年12月末をもって閉塾する。
盛和塾は現在、国内56塾、国外48塾、計104塾で、塾生は1万5千人に上るが、7月17日、18日の2日間、最後の世界大会がパシフィコ横浜で開催され、各地から選抜された6名の塾生による経営体験発表の後、塾長講話が塾長の体調がすぐれず原稿を代読するかたちで進められた。

世界大会における塾長の最後の講話は、

1)従業員にフィロソフィを受け売りでもいいから、一切の疑念を持たずに説きなさい。
2)経営者がフィロソフィを率先垂範で実践しなければ、従業員は見抜きます。
3)フィロソフィを説くには従業員と本音で語り合うことに努めなければならない。
4)フィロソフィを完全に実行できる人はいない。これから一生涯をかけて実践していくという姿勢が大切。

ということを一つ一つ丁寧にお話された。

 私が盛和塾山形に入塾したのが1993年だから26年間にわたって稲盛哲学を学んできたのだが、私にとって最もインパクトのあった京セラフィロソフィは「事業の目的は、全従業員の物心両面の幸せを追求すること」ということだった。
京セラでは、人の喜びを自分の喜びとして感じ、苦楽を共にできる家族のような信頼関係を大切にしてきたという。お互いに感謝しあうという気持ち、お互いを思いやるという気持ち、これを信じあえる仲間いわば家族のような関係が、仕事の基盤となっているのだという。

 一方、こういった「大家族主義」は親子や兄弟のような「甘え」が出てきて効率的な経営から逸脱していく可能性がある。
そこで人事を「実力主義に徹する」ことで大家族主義の弊害を排除している。組織の長には年功や経歴ではなく、職務遂行の能力とともに、人間として尊敬され、信頼され、みんなの為に自分の力を発揮しようとする真に実力のある人が就く。かつ、京セラでは経営者と従業員という上下関係ではなく、一つの目標に向かって行動を共にし、自らの夢を実現していく同士の関係、つまりパートナーシップという横の関係を基本に会社を運営している。稲盛塾長はお金もない、技術もまだ足りない、経営そのものもわからず、不安でたまらなかった創業時に考え付いたのが「頼りになるのは人の心だ、これしかない」と信じあえる仲間である従業員とともに経営をしていくと心に決めたという。

 「全従業員の物心両面の幸せの追求」というフィロソフィ一つにしても、真に理解し、実現するには、試行錯誤を重ねながらまだまだ自身の心を高める作業が必要なようだ。従業員とともに努力していきたいと思う。

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