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継続と戦略のM&A(2019年_4月号)

旭ブレインズ 川口 潤

 
「何年も何年も検討して、もう会社を潰すしかない。もうダメだ、と思っていました。
ところが、諦めかけていたときにこういったお話を頂戴できて、無事に今日を迎えられて、本当に本当に嬉しく思います。」

この手紙が読み上げられたとき、私の目の前にいた男性は目に涙を浮かべていました。
これは、M&Aの成約式(最終契約)にて体調を崩して出席できなかった奥様からA社長に宛てられた手紙です。

【M&Aまでの経緯】
A社は自動車部品修理業。A社長は、5年以上も前から会社を譲り受けてくれる相手を探していました。
公的機関等、様々なところに相談したのですが、5年間、一向に相手が見つからず。
A社は決して業績が悪いわけではありません。ここ数年は営業黒字、自己資本比率は約60%、実質無借金。贅沢をせず誠実な経営を行い、なにより社員を第一に考えてきた社長です。
ですが後継者がいません。
ご子息は不慮の事故に遭い会社を引き継ぐことが難しい。
また、ご息女は専業主婦で本人にその意志が無い。従業員にも打診したものの、良い返事をもらえることはできず、後継者探しは難航していました。
A社長は
「会社を清算するしかない・・・」
そう考えていたそうです。
それが2018年の8月、とあるM&Aアドバイザリー会社を知ります。
「どうせ駄目だろうが一応相談してみるか・・・」
当初、A社長は全く期待していませんでした。

【B社がA社にシナジーを見い出す】
「譲渡を希望している会社がある。社長は大変真面目な方で、財務内容は極めて健全」
弊社に情報が入ってきたのが2018年10月。すぐさま以前から相談を受けていた、B社にお話をしました。
B社は中古車販売業として東北地方でトップクラスの売上と販売台数を誇る会社で、複数店舗を展開しています。元々B社はA社商圏への出店を計画していたことに加え、自社ではまだ内製化していない”ある修理技術”をA社が保有していることに、自社の成長戦略にも繋がるとA社に興味を抱きます。
A社長は「これ以上のないお相手」と断言。
A社は販路拡大が期待でき、B社にとってもシナジーがあるということで、交渉は順調に進んでいきます。
現地視察、財務DD、調整等を経て、約3ヵ月で成約式(最終契約)にまで至ることができました。その成約式で読み上げられたものが、冒頭の手紙です。

【すべては事業継続・発展のため】
今回、A社長はたまたまM&A会社との接点を持ちました。
もしそうでなければ、数年内に会社を清算していたかもしれません。
「事業を継続することが十分できるにもかかわらず」です。
情報がない(知らない)ということで、選択肢が限られ、事業を継続していくことができないとするならば、それは情報提供が不十分な我々の責任です。
後継者が親族内あるいは社内にいればそれに越したことはありませんが、企業の事業継続・発展のため、それ以外の選択肢も早い段階から提供していくことが我々の責務です。

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