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脱炭素とD X の未来(2021年_3月号)

日経平均株価は2月15日、30年6ケ月ぶりに3万円台を回復した。日経のアンケートによれば、この株価水準を「バブル」とみるか、「妥当」とみるかの、意見は拮抗している。世界的な金余り現象が様々な資産の価格を引き上げており、企業業績面からみて買われすぎで1980年代後半の「バブルと同じ様相」とする意見と、今年後半のコロナウイルスワクチンの普及による景気及び企業業績の回復や実質金利との対比からみて「妥当な水準」とする意見とがあり、つの見方はほぼ半々である。また、同じアンケートで今後の日本株のリスク要因は何かとの質問に対しては➀米国の株式相場の急落、➁米国の金利上昇との回答が多数で、金利の上昇による米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の緩和見直しに対する警戒感が強く、日本の30年半ぶりの株価回復も米国市場との連動を強く示唆するものであった。

一方、苦学して職業訓練大学校を卒業後、従業員 人とともに創業した日本電産を今や世界的なモーター会社に育てあげた永守重信会長兼CEO は今般の株価回復について「1980年代のバブルとは違う、株式市場はまだ上げる可能性がある」とみている。その根拠ははっきりした投資テーマがあるという点だ。投資による資金需要とは➀地球的課題である温暖化阻止(脱炭素化)に向けて新たな事業が数多く出てくる点、➁デジタルトランスフォーメーション(DX)に莫大な投資が見込まれる点だ。今は成長のチャンスでもあるという。

同時に永守氏は「企業経営に関わって約50年、今ほどの緊張感はかつてなかった」という。「技術革新の波、変化のスピードはとてつもなく早く、マーケットの変化に合わせて事業を変えていけるかが問われている。これまで業績が良いから安心ということが通用しない時代だ。過去とは全く違うのだという危機感が必要だ。経営力がないと乗り切れない。大企業といえども企業は経営者次第という時代になった」と警戒する。

一方、今年の賃上げはコロナ禍による先行き不透明感から減速しそうだ。労働行政研究所の調査ではベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ率は1.73%と2013年以来8年ぶりに2%に届かない。日本の賃金は先進諸国と比較すると、その低迷ぶりが突出している。OECDによる統計で平均賃金の推移をみると、2000年から2019年の間に米国と英国は7割近く、ドイツとフランスは5割強上昇しているのに対し、日本は5%弱下がっている。

賃金を上げて消費を刺激し、生産活動を活発にして雇用や設備投資の増加につなげ、それがまた消費を下支えする。こうして「経済の好循環」を促すのが経済政策の主眼なのだが、日本において賃金が上がらない根本原因は労働生産性の低さだ。日本は1970年以降、主要7ケ国(G7)の中で労働生産性は最下位だ。ではどうすれば労働生産性を上げ、賃金を上げていくことが出来るのだろうか。

過去30年間の日本経済の停滞はIT化の遅れが原因だといわれている。世界は今まさに第4次産業革命の入口にいる。「データやデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位を確立する」(DXの定義)ことが迫られているのだ。既にDX化でレガシー産業から脱却した老舗看板屋や老舗旅館、不動産屋が脚光をあびている。戦国時代、いち早く鉄砲の価値を見抜いて実戦に用いた信長が弱小大名から天下に躍り出たように、経営者も、管理者も、社員も一丸となって「過去とは全く違う世界が来る」という意識を持って、生産・営業・開発・管理のあらゆる領域でDX化に取り組んでいかなければならない。

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