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代表的日本人(2022年_2月号)

ジョン・F・ケネディは43歳で第35代アメリカ合衆国大統領に就任した。就任演説の「…我が同胞アメリカ国民よ、国が諸君のために何が出来るのかを問うのではなく、諸君が国のために何が出来るのかを問うてほしい。…」は有名なフレーズだ。

そのケネディが大統領就任時に日本の記者団から「貴方が日本で最も尊敬する政治家は誰ですか」と問われ、「YOZAN UESUGI」と答えたのだが、「上杉鷹山」を日本の記者団の誰も知らなかったという。では、ケネディはどのようにして上杉鷹山を知ったのだろうか。それはクリスチャンであった内村鑑三が 34 歳の時に英文で書いた『代表的日本人』という本の中に上杉鷹山が取り上げられており、それを読んだのだろうといわれている。

『代表的日本人』の日本語訳(岩波文庫)を改めて読んでみた。この本には体制変革者としての西郷隆盛、政治家としての上杉鷹山、事業家としての二宮尊徳、教育者としての中江藤樹、宗教家としての日蓮上人の 5人が代表的日本人として掲載されている。内村鑑三は、5名の日本人を通して西洋文明に勝とも劣らない日本人の精神性の深さを世界に知らしめようとしたのだった。

〇西郷隆盛…日本の鎖国体制を開国体制に変え西郷なしには明治維新は無かったといわれ、豪快で大局観を持ったカリスマ的リーダーだった。「命も要らず、名も要らず、位も要らず、金も要らず、という人こそもっとも扱いにくい人である。だが、このような人こそ、人生の困難を共にすることが出来る人物である。また、このような人こそ、国家に偉大な貢献をすることの出来る人物である」が西郷の最も有名な格言だ。 本書には私利私欲に惑わされず、天から与えられた使命に忠実に生きようとした姿が描かれている。「人間の成功は自分に克つにあり、失敗は自分 を 愛 す る に あ る 」「 正 し か れ 、 恐 れ る な 」「 心 が清く、志が高ければ道は得られる」などの言葉が残されている。

〇上杉鷹山…鷹山は「民の父母になる」という誓いを立て、勤労と倹約を奨励し、漆や養蚕などの産業を興し、経済破綻に瀕していた米沢藩の再建を成し遂げた。「なせば成るなさねば成らぬ何事も成らぬは人のなさぬなりけり」は鷹山の有名な名句である。
本書には「真心さえあれば不可能なものはない」「民をいつくしむ心さえ汝にあるならば、才能の不足を心配する必要はない」「富は常に徳の結果」「家臣を有徳な人間に育てる」「すべての学問の目的は徳を修めること」という至言がある。民や家臣を社員と読み替えてみてはどうだろうか。

〇二宮尊徳…貧しい農家に生まれながら、持ち前の勤勉さで小田原藩の領地の復興を成し遂げ、後には江戸幕府から立直し請負人として雇われた。
二宮尊徳の「道徳を忘れた経済は、罪悪である。経済を忘れた道徳は寝言である」「誠実にして、初めて禍を福に変えることが出来る。術策は役に立たない」「最初に道徳があり、事業はその後にある」「あるのはただ魂のみ、至誠であれば、よく天地を動かす」という言葉は今こそ生きる。

〇中江藤樹…近江の聖人と呼ばれ、積善を旨として信念を貫き通した。道に反することであれば最も尊敬する母の意見も聞き入れなかった。「人生の目的は利得ではない。正直である、正しい道、人の道に従うことである」「積善は徳をもたらす」

〇日蓮上人…内村鑑三はローマ教会に抗議した宗教改革者マルティン・ルターと同じように既存の宗教界を厳しく批判し、流罪に遭うなど弾圧を受けながらも宗教改革に挑んだ偉人が日本にもいたことを世界に伝えた。「しんそこ誠実な人間、もっとも正直な人間、このうえなく勇敢な人間」と日蓮を評している。

5人の代表的日本人、彼らに共通しているのは、鍛え抜かれた“心の綺麗さ” なのだろう。

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