株式会社旭ブレインズ 中小企業診断士 倉金 徹
昨年大ヒットしたTVドラマ「下町ロケット」は、池井戸潤さんが直木賞を受賞した同名小説を原作としたもので、宇宙科学開発機構の研究員だった主人公が中小企業の二代目社長となって社員と共に奮闘する物語です。舞台となる「佃製作所」は、資本金3,000万円、従業員200名、売上高100億円に満たない中小企業…、という設定です。
確かに従業員300人以下の製造業は法的に中小企業として分類されますが、全国の中小企業385万者のうち87%は従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者ですので、「佃製作所」を“下町の中小企業”と同列に見ることに違和感を覚えるのは私だけでしょうか?
そのような違和感を覚える小規模事業者の皆様方を対象とした「小規模企業振興基本法」が昨年6月に成立し、第1回目の「小規模企業白書」が発行されました。
白書では、小規模事業者において、売上増加と相関のあった販路開拓の取り組みについて調査結果が紹介されています。
調査によると、「直近3年間で売上増加傾向である」と回答した小規模事業者が取り組んだ販路開拓の取り組みは、多い順に「営業能力の高い人材の新規採用」「新商品・サービスの開発・投入」「市場分析(地域における情報交換や経営セミナー等への積極参加)」「現在の社員の営業能力の向上」「HP、Eメールを活用した情報発信」と続いています。
「小規模企業振興基本法」が成立したことで、小規模事業者が使いやすい補助金や外部専門家の活用など新しい支援施策がスタートしています。これらを活用しながら販路開拓に向けた新しい取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。