これからの税務調査について(2013_1月号)

これからの税務調査について

審査部  村山 和良

税務調査の手続を定めた国税通則法が改正されています。法人や個人事業者に影響がある主な改正内容として、①税務調査手続の明確化、②更正の請求期間の延長があります。

①税務調査手続の明確化(平成25年1月1日以後開始する調査から適用)

実地の調査を行う場合は、納税義務者及び税務代理人に対し調査を行う旨及び調査開始日時、調査開始場所、調査の目的、調査対象税目、調査対象期間、調査対象となる帳簿書類その他の物件等をあらかじめ通知することが法定化されました。

改正前は事前に日程や調査対象税目についての電話連絡はありましたが、これからは基本的に日程や調査対象税目だけでなく、調査対象となる帳簿書類等まで通知が行われることになります。通知ということは書面での通知を思い浮かべますが、通知の方法についての規定がありませんので、口頭による通知も可能なようです。

違法又は不当な行為で調査に支障を及ぼすおそれがある場合は事前通知を要しないという規定もあるので無予告調査もありうるのですが、原則的には通知が必要であり、無予告調査は例外的に認められることになるので、少なくなることが予測されています。

 

②更正の請求期間の延長(平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する分から適用)

申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」期間が1年から5年に延長されました。

過去の申告税額(所得)を自主的に増額修正するのが「修正申告」であり、逆に減額更正(主に還付)を求める手続が「更正の請求」です。この更正の請求期限は法定申告期限から1年以内(通常は前期分だけ)となっていたため、それ以前の減額更正については、課税の実務として嘆願書を提出して「お願いする」という方法を採らざるを得ませんでした。これが改められたという形です。

 

【税務調査に関する情報】

国税庁が公表した平成23事務年度(平成23年7月~24年6月)の法人税等調査事績の概要によると、「主要な取組として①無申告法人、②海外取引法人(国際源泉所得税を含む)、③無所得申告法人、④消費税還付法人に対して重点的な調査に取り組んでいます」とあります。

同様に平成23事務年度の個人に対する所得税等調査状況では、「①有価証券・不動産等の大口所有者、②海外取引を行っている者や海外資産を保有している者、③インターネット取引者、④金地金の譲渡等」が挙げられており、①~④について「平成24事務年度(平成24年7月~25年6月)においても積極的に調査を実施します」と記載されています。

 

税務調査で税務署から誤りを指摘された場合、不足額を納めるだけでなく、加算税や延滞税まで負担することになってしまいます。

適正な申告納税を心がけたいものです。

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