相続サポートセンター 菊地 克子
当法人に相続の専門部署である“相続サポートセンター”ができてからはや5年が過ぎました。相続に特化できることで、申告業務だけでなく、遺言書作成サポート等の周辺業務にも力を入れているところです。
27年税制改正で基礎控除が4割下げられてからというもの、昨年放送されたドラマでは“遺産争族”が高視聴率を上げるなど、何かと相続について騒がれている昨今です。
仕事上相続に携わっていると、やはり「申告期限まで分割が決まらない」、「相続人の一人が認知症だった」など、遺言書があればどんなにスムースだったかというケースがあります。仲の良かった家族が相続を境に絶縁状態ということも稀にあります。
そのような時、亡くなる前に自分が築き上げてきた財産の分配まで責任を持って決めておくことが、残された相続人に対する思いやりなのでは、と感じます。
たとえば、認知症等で意思能力のない相続人がいる場合には、後見人を選任し分割協議を行います。この場合、後見人は被後見人の利益のみを考えて行動しなければなりません。被相続人の配偶者が被後見人の場合には、二次相続を考慮して配偶者より子供に財産を多めに相続させたいと考えても、配偶者の法定相続分を侵害することはできません。
このような時、遺留分が配慮された遺言書があれば、分割協議をする必要もなく、遺言書に従って相続手続きをすることが可能です。残された相続人にとっては、無駄な心労を伴うこともないはずです。
そこで、トラブルを回避するために有効な遺言書作成のポイントを挙げてみました。
ポイント1 遺留分を満たす
財産のすべてを長男に…これでは相続人が複数人いた場合、長男以外の相続人は一切遺産を相続できないということになり揉めてしまいます。そこで民法では相続人の最低限の取り分を保障しようと法定相続分の半分(直系尊属の場合は3分の1)は相続できるように遺留分という制度を設けています。遺留分が満たされていれば、“遺留分の減殺請求”はできません。
ポイント2 元気なうちに公正証書で
また、預貯金の名義変更や不動産登記等の相続手続をよりスムースに行うためには、公正証書遺言がおすすめです。公正証書遺言は公証人に作成してもらいますので、認知症で意思能力が不十分にならないうちに作成されることをお勧めいたします。しっかりとした意思表示が可能なうちに、より配分に配慮した遺言書を作成することが望ましいです。
ポイント3 事業承継者がいる場合には付言事項で思いを伝える
相続人に事業承継者がいる場合には、事業用財産があるために、どうしても承継者への配分が多くなってしまいがちです。そのような時には、付言事項で事業用財産を承継者に渡すことで財産の配分に偏りが生じてしまうことをわかってほしい等の、文言を付け加えます。思いを書き残せば、わかってもらえるはずです。
遺言書について知りたい、相続について不安だという方は、当法人無料相談をご利用下さいませ。