ものづくり中小企業が目指すべき方向性(2013_9月号)

ものづくり中小企業が目指すべき方向性(2013_9月号)

株式会社旭ブレインズ 中小企業診断士  倉金 徹

皆さんは、経済産業省が毎年公表している『ものづくり白書』をご存知でしょうか?

製造業の動向と技術振興施策を取りまとめて公表している政府刊行物です。なにやら難しい統計資料という印象を受けますが、大企業から中小企業まで様々な取り組み事例が数多く紹介されているほか、「製造業を人体に例えると、技術は“頭脳”、設備は“筋肉”に該当し、これらが製造業の競争力の源泉である。」のように例え話を交えて説明するなど、下手なビジネス書よりも面白かったりします。

本年度の『白書』では、大企業を中心に海外展開が進み、海外生産の技術レベルも国内と同水準に達しつつある中で、ものづくり中小企業が競争力を高めていくために目指すべき方向性が紹介されています。

『白書』によると、機動力・柔軟性・ネットワークを活用して顧客ニーズへ迅速にきめ細かく対応する能力、すなわち「対応力」を強化することが重要であり、今後の目指すべき方向性として次の5つの類型に整理しています。

①小口化・短納期化型

グローバル競争が激化し、顧客ニーズが多様化する中、顧客からの多品種少量生産・短納期化のニーズに対応可能な体制を構築する。

②ワンストップ化型

複数の技術を組み合わせた一貫生産体制の導入など、顧客の幅広いニーズに迅速に対応可能な体制を構築する。例として、

金型製作からプレス加工、メッキ、検査        まで一貫して処理することが紹介されています。

③サービス化型

長年培った知恵と経験を活用し、顧客のニーズに対して中小企業側から積極的な提案を行うなど製品以外の付加価値をつけた形での商品提供が可能な体制を構築する。

④ニッチ分野特化型

潜在的なニーズがあるにもかかわらず、他社が気付かないか市場規模が小さいため参入しない隙間分野に、経営資源を集中して競争力を強化する体制を構築する。

⑤生産プロセス強化型

新興国との競合や原材料価格の高騰などを背景に、低価格化のニーズに応えるべく、従来の生産プロセスを見直し、生産性を向上させることで、品質を落とさずに低コスト製品に対抗しうる製品を生産する。

一口に「対応力」を強化すると言っても、その方向性には色々あるようです。

現在の取引先が自社にどのような対応を期待しているのか、あわせて自社の持ち味を活かせる対応の仕方とは何かを見極めて、どのような「対応力」を強化していくのか、方向性を再確認してみてはいかがでしょうか。

ものづくり中小企業が目指すべき方向性(2013_9月号)
 

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