今回はシンガポール現地からアジアの現況について報告(3月18日記)したい。
シンガポールは1965年マレーシアから分離独立した。1965年といえば東京オリンピックのあった年で今からちょうど50年前だ。私が始めてシンガポールを訪れたのは20数年前、観光といってもマーライオンとオーチャード通りしかなく、公園の屋台でカエルの串焼きを食べた記憶があるくらいだが、今回2度目の訪問をしてあまりの変化に驚いている。リー・クワンユーという一人のリーダーの下に、たった50年でここまで凄まじい発展を遂げることができるのかという驚きだ。
シンガポールは東京23区とほぼ同じ面積で、人口540万人、うち200万人は外国生まれだ。一人当たりGDPは55千USドルと日本の38千USドルをはるかに抜いてアジアで1位。富裕層の割合世界1位、ビジネスのしやすさランキング世界1位、政治への国民の信頼度世界1位等々いまや世界に冠たるアジアNo.1の金融・貿易国家となっている。
英国のエコノミストによれば、アジア(日本、韓国を除く)の世界のGDPに占める割合は2010年の27.9%から2030年には39.5%、2050年には48.1%になるという。一方、日本の割合は5.8%→3.4%→1.9%と下降していく。北アメリカ、西ヨーロッパの比率も2050年に向けて合計40.2%→21.2%へと半減していく。
アジアを抜きにして世界の経済は考えられないのが現状だ。ましてや日本は2010年から1億2806万人の人口が減少し始め、2060年には8674万人まで減るという。日本のマーケット(内需)は縮小の一途をたどり、このままでは日本国内での経営が限界に達するのは必定だ。
いま、企業を取り巻く環境の大きな流れは①グローバル化であり、②集約化(再編)だ。製造業(自動車、機械、素材…)であれ、金融(銀行、生損保…)であれ、小売(コンビニ、スーパー、飲食…)であれ、グローバル化は避けて通れない。また、日本国内においては小売(家電、調剤、書店…)も、卸売(薬品卸、食品卸、日用雑貨卸…)も、通販(楽天、一休…)も、「IT化」と相まって集約化(再編)が急速にすすむのは必然の流れだ。
日本の中小企業こそ、縮小する国内経済に頼らずアジアに進出すべきだと思う。遅すぎることはない。大企業に限らず、日本の技術力やサービス精神やブランドは世界に誇れるものなのだ。アセアン諸国の90%の人は日本が好きで、日本を尊敬しているのだという。思い切ってアジアに出ない手はない。当法人では、皆さんがアジアに進出するための支援策を着々と準備している。