コミュニケーション(2014_6月号)

あさひグループ代表 柴田健一コミュニケーション(2014_6月号)

新年度が始まって3カ月目となり、新入社員も漸く職場に慣れて上司や先輩社員の指導の下で仕事を任され始める頃かと思う。この時期に職場で交わされる会話の一つに「ちゃんと頼んだよね」「聞いていません」といった上司と部下との会話がある。誰しも経験のある、また、どこにでも見られる職場風景だ。

コミュニケーションは発信者と受信者がいるツーウェイが基本だが、コミュニケーションの大原則は「聞き手に決定権がある」という点だ。つまり、コミュニケーションに関する責任は発信者にあるということになる。上記の例では「ちゃんと頼んだ」はずの上司に責任があるということになる。部下がちゃんと判ったかまで確認する必要があるというわけだ。もちろん部下は、上司の指示があった場合はメモを持参で上司の元に駆けつけ、5W2H:When(いつまでに)、Where(どこで)、Who(誰と)、What(何を)、Why(何のために)、How to(どんなやり方で)、How much(どの程度)やるのかをキチンと確認して上司の指示を過不足なくやり抜く努力が必要なのはいうまでもない。とはいえコミュニケーションのKeyは発信者が握っていることに変わりはない。

このコミュニケーションの大原則は国家間でも同じことがいえるのだろう。靖国神社への参拝は中国や韓国が言うような軍国主義復活の意図などないということを安倍首相は相手が納得するまでもっともっと説明する必要がある。あるいはコミュニケーションの責任が発信者側にあるとするならば、国際社会で共存する為にはそういう誤解を受けないような施策や施設も必要になるのかもしれない。

「伝える」と「聴く」とはコミュニケーションの2本柱だが、さらに加えて3つ目の柱がある。それは「質問」だ。実際あった話だが、あさひ会計のクライアントの社長様に「担当者のAさんに良いアドバイスを受けましたよ」と感謝されたことがある。Aさんに何をアドバイスしたのと聞いたところ、「いいえ、何もアドバイスしていません。質問しただけです」という答えが返ってきた。Aさんはその会社の決算書をもとに対前年比や比率等で疑問に思ったことをリストアップして社長様に質問させていただいたということだった。その質問に答える中で社長様にはいろいろと気づきを得て頂いたのだろう。

質問にはYesかNoで答えられる「クローズド質問」と様々な答えが想定される「オープン質問」とがあるが、特に「オープン質問」はコミュニケーションの大きな武器だ。

職場にも漸く慣れ、ふと不安になる新入社員に対しては「人生や仕事の目的」を質問し、現状位置を確認し、進むべき方向の再吟味をしてもらうことも不安解消に有効だ。

 

 

 

 

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