ここ15年ほど、世界を一変させるイノベーションがシリコンバレーから沸きあがっている。1970年代後半にパソコンの草分けである「アップル」やデータベースの「オラクル」などが誕生し、ハイテク企業の一大拠点となって以来、1990年代後半以降は検索エンジンの「ヤフー」や「グーグル」、ネットオークションの「イーベイ」、動画配信の「ユーチューブ」、オンライン決済の「ペイパル」、SNSの「フェイスブック」が誕生し、そして、今、電気自動車の「テスラモーターズ」、ライドシェアの「ウーバー」、民泊マッチングの「エアビーアンドビー」などが花開き、さらにはクラウドやIoT、あるいはフィンテックやAIなどまさに世の中を劇的に変化させようとうごめいているのがシリコンバレーである。
先月、シリコンバレー視察の機会があり、この地で活躍中の日本人の講演やパネルディスカッションを聴くことが出来た。講師は、あさひ会計でも4月から本格導入をしようとしているチャットワークの創業者である山本CEOを始め、日経ビジネス「時代を創る100人」に選出された方々などシリコンバレーで起業している30歳台から40歳台の若い経営者たちだったが、5年間で1兆円になるビジネスでなければ生き残れないというスピード感とスケールには日本では考えられない厳しさとダイナミズムを思い知らされたのだった。
サンフランシスコ・ベイ・エリアから羽ばたいている代表的な2つの企業を紹介しよう。
①テスラモーターズ・・・電気自動車メーカーだが、航続距離500km以上、約5秒で時速100kmまで加速する車をデビューさせ電気自動車がガソリン自動車を越えられることを証明した。又、走行・停止・駐車といった自動運転のソフトウェアを1年半前以降に販売した車にも一夜でダウンロードするといった離れ業をやってのけた。アメリカではテスラ車に乗ることが時代の先端を行くことの証となっている。
②ウーバー・テクノロジーズ・・・一般人が自分の車と空き時間を使って他人を運ぶ自動車配車ウェブサイトと配車アプリの会社である。専用アプリを使ってスマホ上の地図で乗車場所を知らせると、近くにいるUber車が表示される。乗りたい車を選んで配車依頼をすると、ドライバーの名前、写真、評価、車両Noが表示される。降車後、運転手と相互に評価を行い、領収書は別途メールで受け取れる。ウーバーは現在、世界70カ国、450以上の都市で利用されており、創業8年にして時価総額は約7兆円とホンダを超えた。
情報革命といわれて久しいが、今、シリコンバレーには破壊的なイノベーションがひしめいている。