今年の暮れも又、稲盛和夫氏を偲ぶ会が全国各地で開催される。2019 年 7 月の最後の「盛和塾」(稲盛氏を塾長とする経営者の勉強会)で稲盛氏は「今日で終わりではなく、今日が皆さんにとっての始まり」と説き、「経営者がフィロソフィを実践すること」そして「全従業員とフィロソフィを共有すること」が大切だと話された。
トップが持つ人生観・哲学・考え方がすべてを決するのだ。だから「経営者は人格を磨く必要」があり、そして「社内に立派な人間性を持った人をたくさん作れば、放っておいても会社はうまくいく」と稲盛氏はいうのだ。
あさひ会計も毎月の全体会議で 600 ページに及ぶ『京セラフィロソフィ』の中から項目を選び読み込んでいるのだが、遅ればせながら、あさひ会計のフィロソフィを制定し、役員始め全所員でそのフィロソフィを実践していきたいと思う。
<1> 人間として何が正しいのかを基軸とする
私が触れた稲盛氏の最初の言葉は「動機善なりや、私心なかりしか」だった。私達は自分の判断や行動が「利己」から発せられたものではないか、その動機は「善」つまり、人助けになるか、優しいか、思いやりの心があるか、良いことか、美しいかを確信するまで自らに問う必要があるというのだ。
どんな心で経営するのかで経営は決まる。だから経営者には人格が必要となる。人間性が問われる。と同時に所員も「自分が良ければいい」と考えるのではなく「人に良かれ」という利他の心で判断し、心を磨いていく必要がある。一生はどんな心に自分を作り上げていくかで決まるのだ。
<2>変化に対応する
あさひ会計が東北 No.1 に成れたのは常に世の中の変化に対応して時代を先取りしてきたからだ。事務所設立の早い時期から会計機(オフコン)を導入、大学新卒を採用し、人事制度を導入、事務所管理システムを構築、SE を採用し、コミュニケーションツールとしておそらく東北で初めてチャットワーク(CW)を、また名刺管理ソフトSansan の導入やマニュアル作成・共有システムの Teachme Biz の導入等、様々な世の中の先端を行く変化に挑戦してきた。
今、会計事務所の業務自体が DX 化の伸展により大きく変わろうとしている。仕訳や入力業務は自動化され無くなるだろう。今後、会計事務所に期待されるのは財務コンサルティング業務だ。あさひ会計では何年も前から MQ 会計を導入し、経営を 4 つの視点から分析する手法を確立している。全事務所的な導入が今後の喫緊の課題だろう。
<3>原点に戻る
例えば、毎月試算表を作り、年度末には決算書を作っているが、何の為に作っているのだろうか?
それは税務署の為に作っているのでもなければ、銀行の為に作っているのでもない。経営者の為に、経営に役立たせる為に作っているのだ。従って、部門別の P/L や顧客別(商品別)の P/L を作らなければ経営に役立っているとは言えない。
また、人事評価は分配の為の道具でもあるが、本来的には会社が社員に期待していることを示し、社員に成長してもらう為のものだ。従って、評価項目を 20 個、30 個と並べるのでは育成効果は薄い。
<4>我が事と思う
顧客である経営者や上司や部下の困りごとや悩み、そして会社の課題に真剣に向き合い、自分の事として思うことは仕事を行う上での原理原則だ。
<5>チームワークでケミストリー
先輩は後輩の面倒を見、後輩は先輩を尊敬する。
水(H₂O)が水素(H)や酸素(O)とは全く異質の性質を持つように、チームワークには個々の能力をはるかに超えた異質の要素を発揮させる力がある。
チームは一人の為に、一人はチームの為に!