トヨタの労使協議会(組合との団体交渉)がYouTubeで公開されている。その場では組合側からも、役員側からも、そして幹部職からも率直な意見が出され、賃金をどうするというよりもこの会社をどうするのだということを労使ともども真剣に考え、意見交換がなされている。国内でも7万人を超える会社の労使がこんな身近なことまで議論するのかと、そしてそこまで距離を縮めて議論しなければ価値観は一致しないものかと改めて思い知らされたのだった。
組合側が、「変わろうとする職場もあるが、目の前の業務をこなすだけの職場もあり、組合幹部としてガッカリする」と発言すると、役員側からも「数多くの若いエンジニアが『こんなはずじゃなかった』と辞めていく、幹部が相談相手になっていない、十把一絡げで捉えるのではなく、一人ひとりの社員に寄り添い、仲間としてお互いの表情を感じ合わなければダメだ」と反省が述べられる。
また、組合側は「幹部は部下に寄り添わず、人間力や実行力がなくとも、アウトプット(成果)さえ出していれば評価されるのか」と問い詰める。これに対して副社長は「本気でメンバーのことを思いダメなところはダメだといえる信頼関係と、慕われ、尊敬される存在になれ」と幹部に檄を飛ばす。
最後に社長がその日の労使協議会の感想を述べるのだが、メンバーは「上司に魅力を感じていない。変化に対して上司が障壁になっている。大義をもって仕事をしているようには見えない」と指摘する。「I」を主語とするのではなく「YOU」を主語として考えれば気づくことが多い、相手も自分のことを話してくれるといい、「リーダーになれ」と下記の英国の経営者の格言で締めくくるのだった。