山形・宮城相続サポートセンター 税理士・行政書士 白田 文
マイホーム取得は、人生においてビッグイベントです。税制の特例を活用する方法を考えてみました。
(1)住宅ローン控除の活用
その住宅に住む方が、住宅ローンを利用すると、住宅ローンの年末残高の1%相当額が所得税から控除できます。
利息相当分の税金が控除できるイメージです。
(2)暦年贈与の活用
住宅ローンを組むと、その返済分だけ家計が圧迫されます。そんなとき、その返済資金相当額の贈与があれば、助かります。
暦年贈与制度は、年間110万円まで非課税。これを超えると、翌年3月まで申告納税が必要となります。“贈与税は高い!”という印象がありますが、
・年間300万円の贈与で贈与税は約6%
・年間500万円の贈与では約10%
と、消費税と比較するわけではありませんが、思ったより高くないと感じられる方も多いのではないでしょうか。
昨年から、改正により“直系尊属から20歳以上の者への暦年贈与”は、軽減されました。今年は、当事務所の贈与税申告のお手伝いも、例年に比べ増えております。贈与税軽減により、相続税対策の一手として生前贈与を活用される方が増えているようです。
(3)住宅取得等資金贈与の非課税枠
直系尊属から住宅取得のための資金の贈与を受けた場合には、平成28年中であれば、700万円(良質住宅であれば1,200万円)まで非課税です。
この適用には、戸籍謄本など一定の書類を添付の上、贈与税の申告をすることが要件です。また、細かい要件がありますので、注意深く確認する必要があります。
(4)親の名義で建てる
親などからの資金援助が期待できる場合は、その親など資金提供者の名義で建ててもらうことも検討します。個人間であれば、ただで貸し借りしても、ただで借りている利益について、贈与税が認定されることはありません。ただ、固定資産税くらいは住んでいる本人が支払うべきでしょうね。
名義で注意したいのは、資金を出した人と登記名義人が違えば、贈与税が課税されてしまう、という点です。間違えないようにしたいところです。
ところで、先日4,000万円かけて住宅を新築した例がありました。翌年、固定資産税の納税通知書を拝見すると、その評価額は約800万円。
子の名義にするにしても、新築時に現金を4,000万円贈与するのと、建物そのものを現物贈与するのとでは、贈与税の負担はかなり違うと感じたところです。しばらくは親の名義のまま住んでいて、子に贈与税の納税資金がたまり、家計にも余裕ができた頃に現物贈与し、名義変更するというのもひとつの方法です。
税制の特例には、必ず一定の要件があります。その要件を満たしませんと特例を受けられず、想定外の税金が発生してしまいます。特例活用の際は、その適用要件をよく確認しましょう。