リンクする世界へ(2020年_9月号)

 

Microsoft社は5月19日、WinAutomationを提供しているSoftomotive社をM&Aする※1と発表した。これはRPA業界のビッグニュースであった。Microsoft社は、Softomotive社を傘下にすることで、レガシーシステム※2とコネクトさせる技術を得た。Microsoft Power Platform※3を構成するPower AutomateにWinAutomationは組み込まれた。この結果は、世の中の中小企業のIT化、ビジネスのスピードを加速させる救世主となると確信している。

先日、弊社のエンジニア佐々木がPower Automateの研修を実施した会計事務所では、社内の業務効率化が急激に進み、社内にカンブリア爆発が起きた衝撃だ、とその経営者の方から評していただいた。

これまで、中小企業のIT化の遅れの原因として、高額なシステム開発費の負担、エンジニアの不足、IT部門と業務部門の連携問題などがあった。これらの問題の結果、レガシーシステムに依存し、新しいITサービスとの連携に戸惑い、またサイロ化(分断)されたデータの活用に悩み、これらを利用、人が転記や照合、入力をさせ、多くの間接コストを負担し、ビジネスのスピードを遅らせた。生産性が低いのは当然の帰結といえる。

Power Automateを活用すれば、HPからの問い合わせを社内システムに自動登録する、あるいは注文サイトに入る商品情報を発注システムや社内の作業指示書に登録、送信させる、さらにPower BIも活用し、注文情報や注文者のデータを見える化、分析、関係者にデータ送信するなど、Microsoft Power Platformの活用は無限に広がる。これまでヒトを介していた作業はRPAが代替し、効率化とスピードアップを同時に行う。もちろんレガシーシステムもコネクトさせる対象であり、新しいITサービスとの連携も可能である。

活用は無限に広がる。これまでヒトを介していた作業はRPAが代替し、効率化とスピードアップを同時に行う。もちろんレガシーシステムもコネクトさせる対象であり、新しいITサービスとの連携も可能である。

Power Platformは、ビジネスに必要なものをコネクトする。業界特有のシステム、企業独自のシステムも、そこにあるデータも、Web上のサービスもすべてがリンクしていく。自動化のために大規模なシステムを開発する必要はない。データ、ITサービスをリンクさせていくのはRPAだ。ビジネスはこれらすべてをリンクする世界へ向かっている。そしてビジネスのスピードも加速している。

 

※1:Softomotive社からASAHI Accounting Robot研究所(以下、ロボ研)が提供を受けていたWinAutomation(Power Automate)も、現在Microsoft社からの提供である。ロボ研は現在、Microsoft社とパートナー契約を締結しており、Microsoft社のサービスの提供、Power Automate活用研修も行っている。

※2:レガシーシステムとは、更新が難しい、古い技術を使っているなど、老朽化した社内システムなどをいう。業種特化したものや、独自にカスタマイズされたものなどが多い。

※3:Microsoft Power Platformは、PowerApps、Power Automate、Power BI、Power Virtual Agentsで構成するアプリケーションプラットフォームである。エンジニアに依存しないアプリ開発が可能なPower Apps、ウェブや社内システム、様々な企業のITサービスをコネクト、自動化するPower Automate、さらに分析見える化するPower BIなど、今後これらを使いこなす人材の有無が企業の競争力を左右する。

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