株式会社旭ブレインズ 中小企業診断士 倉金 徹
商用バンの市場占有率60%以上という超人気商品が2002年の発売以来なんと12年ぶりに全面刷新されました。トヨタの商用バン「プロボックス」「サクシード」です。
トヨタのホームページには、「今回、毎日仕事でサクシードに乗っていただいているたくさんのお客様に話を聞きました」と、開発責任者である下村修之さんの開発ストーリーが紹介されています。
ユーザーの声を聞くなんて当たり前とも思いましたが、商用車は買う人と乗る人が異なるため、お客様の声がなかなか上がってこないとのこと。買う人(経営者)が商用バンに求めるのは「荷物が積めて、丈夫で長持ち、維持費が安い」こと。しかし、現場で実際に車を使う外廻り担当者は、車中で過ごす時間が長いため「疲れにくくて快適な室内空間」を求めるとの調査結果。下村さんは産経ニュースの取材に対し、「何より目指したのは働く人を元気にするクルマ」「取引先の部品メーカーや販売会社、建設業、個人商店など70~80社の営業車を徹底的に調べた」とコメントしています。
様々な改良点の中から、私が特に注目したものを少しだけ紹介します。
まずはドリンクホルダー。今まで置き場所がなかった1ℓの紙パック飲料をそのまま置ける!毎日の飲物を自腹で調達している外廻り担当者にとって、コンビニの500mlペットボトル飲料は税込150円と割高なもの。紙パック飲料なら1ℓで税込108円とオトク。
次に、引き出し式の大型インパネテーブル。「デザイナーには、おでんと海苔弁当くらいは置けるようにして欲しいと伝えました」と下村さん。みじめだった車中の食事も快適に!
さらに、運転席すぐ横のカバン置き場。運転席と助手席の間にビジネスバッグを立てたまま置ける!電話を片手に座ったままラクに書類を取り出せます。
極めつけは運転席シート。リクライニング角度が拡大され、ほぼフラットな状態まで座面を倒せる!外廻りで疲れたらシートを倒して目を閉じ、次の訪問に備えて商談イメージを静かに検討しながら…zzz、元気回復!(勤務時間中の居眠りはメーカー非推奨か)ほかにも、実際にクルマを使用している外廻り担当者の求める機能が満載です。
あさひグループには営業車両どころか大きな荷物を運ぶような仕事もありませんが、もしも私が弊社の営業車両選定委員会のメンバーに選ばれたなら、社長に猛烈アピールすること間違いなしです。