円安は解消できるか(2026年_8月号)

最近の日本円はついに1 ドル163 円後半へと進み、長期凋落傾向が止まらない。為替はその国のファンダメンタルズを反映しているというが、円の購買力低下の根本的要因は日本の少子高齢化による生産年齢人口の減少だ。少子化が進むと15 歳から64 歳の生産年齢人口が減少し、新しいことに挑戦する働き盛りの人口が減って長期的にみた経済成長率の期待値が下がり、投資マネーが海外に流出する一方、国内の生活必需品の供給不足やDX に必要不可欠な基盤インフラの不足から貿易収支やデジタル収支が赤字体質となり、構造的な円安圧力が発生すると考えられている。

経済調査機関のレポートによると約1%の人口減少で円の購買力も約1%程度低下するという結果が報じられている。歴史的な円安を止めるためには、少子高齢化に対する根本的な処方箋が不可欠だ。

政治評論家の竹田恒泰氏は、日本が抱えている問題の7割以上は少子化が原因だとおっしゃる。
人口減少に伴う消費支出の停滞による経済成長の鈍化問題然り、労働人口の減少による被雇用者の不足を原因とする中小企業の倒産問題然り、若者が高齢者を支える仕組みの社会保障制度の機能不全問題然り、高齢者増大による貯蓄の取崩しの結果、資金不足による投資抑制問題然り、若者の減少による自衛官の成り手不足による防衛力不全問題然り。

竹田氏によれば、付き合っているカップルの7 割が経済的理由で結婚しないと言っているという。
子供のいない夫婦にアンケートをしたところ、7 割以上の夫婦は子供が欲しいが子供を作らないのは経済的理由だという。子供のいる夫婦にもっと子供が欲しいかと聞くと2 人目、3 人目も欲しいと答えるが、そうしない理由のトップは経済的理由だという。金で解決できるのであれば金で解決すればいいというのが竹田氏の持論だ。

竹田氏は子供が1人生まれたら1000 万円をぽ~んと差し上げればいいという。2 人目が生まれたらプラス2000 万円、3 人目が生まれたらプラス3000 万円、都合6000 万円を差し上げればいいのだという。子供一人を産み育てるのにおおよそ2000 万円以上かかるから、子供1 人だったら国が半分面倒みる、3 人産んでくれたら養育費は国が全部面倒みる。4 人目が生まれたらその世帯は所得税なし、5 人目が生まれたら相続税なしというのが竹田氏のプランだ。

わかった。だが財源をどうするのかという疑問に対して竹田氏は財源はいらないという。子供が1 人生まれることによる経済効果は3 億円から5 億円あるという。子供は生まれた瞬間から消費者となり、10 数年もしたら労働者となって所得税を払い、死ぬまで納税者なのだ。1 人生まれてくるということは1000 万円どころではない価値があるのだという。例えば近年の出生数は67.8 万人で過去最少を更新しているが、100 万人に1000 万円ずつ配っても10 兆円、10 年続けても100 兆円だ。コロナで150 兆円、東日本大震災による国土強靭化計画で360 兆円、CO2対策で150 兆円出しているのに少子化対策に100 兆円出せない訳がない。しかも少子化対策の100 兆円は100%回収できると主張なさっている。

かつてフランスは2000 年初頭に実施した、➀現金給付・税制優遇(家族手当)、➁育児休業制度の充実、➂保育サービスの拡充等の少子化対策が功を奏し欧州トップの出生率を誇ったのだが、2010 年以降は出生数が減少し始め、2025 年には戦後最低水準となっている。その主因は➀住宅費の高騰、➁雇用の不安定化、➂気候変動・経済の不安化による将来の不確実性等の政策以外の要因だ。日本とフランスの少子化は「似ているようで、根本原因が違う」ようだ。

いずれにしろ今後日本は➀高齢者も健康なうちは働ける仕組みづくり、➁女性の更なる社会進出を図るための家族制度を含む制度改革、➂移民を含む外国人労働者の活用も、竹田氏の大胆な提案とともに考えていく必要があろう。

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