台湾へ社員旅行(2024年_12月号)

あさひ会計ではコロナで中止していた海外への社員旅行を再開した。あさひ会計の社員旅行の特徴は旅行会社の案内に従って観光をしたり、食べ歩くだけではなく、その地域について学習したり、生の体験をすることだ。ローマに行ったときも旅行日程のうち1日は朝から晩まで、仲間とあるいは一人で企画し様々な場所をめぐり、食事も自分たちでレストランを探して現地の人たちに混じって楽しんだ。今回の台湾への社員旅行では、山形県日華親善協会の後藤完司会長のお骨折りにより、東アジア国際政治が専門の李明峻先生(京大博士課程修了)から「台灣と日本は運命共同体」と題した講演をお聴きすることが出来た。

台湾は九州よりやや小さい人口 2,350 万人のアジアで最も歴史が浅い国だ。台湾島と中国大陸との間の台湾海峡は海流が早く、偏東風が渦巻くことから無動力船で台湾島に入るのは難しく中国からの移民が盛んになるのは 17 世紀に入ってからだ。スペイン・オランダの統治後、1661 年鄭成功が台湾を樹立、清王朝への編入、50 年間の日本統治を経て、1949年毛沢東に敗れた蒋介石が200万人の兵士や民間人を連れて台湾に逃亡、台湾を統治することとなった。それ以来台湾は国民党による一党支配の政治体制が続いたが、第 4 代総統李登輝により台湾の自由化と民主化が達成されることになる。

現在、台湾に住む人たちが自分は何人だと認知しているかといえば台湾人だと思う人は67%、中国人だと思う人は2.4%、都是(どちらも)と思う人は 27.5% だ。また、台湾は女性優位の国で知事の56.3%、国会議員の41.6%は女性だ。

日本の統治時代、確かに様々な不適切な事案があったと思うのだが、白人国家による植民地支配がただただ収奪するだけなのとは異なり、日本は法に基づく統治をおこない、道路、鉄道、衛生環境等のインフラを整備し、教育・医療に力を注ぎ統治した国の国力、国民生活の向上を図る事業を展開していった。なかでも総督府技師八田與一による当時東洋一の規模といわれた烏山頭ダムの建設は台湾南部の不毛の地を大穀倉地帯へ作り変えたのだった。

一方、大陸への復帰を目指していた蒋介石の統治下では台湾の将来に向けてのインフラへの関心もなく、法は台湾人を縛るものとして用い、自分たちは法治を無視し人治を重んじたのだった。李先生はなぜ台湾が親日なのかといえば、台湾は移民国家であり様々な国からの統治に対しあまり抵抗感がなかったことや 90 年代の「哈日族」(日本大好き族)の登場、訪日観光の増加、中国との関係における日本との共通の利益などをあげられていた。

最後に、社員旅行参加者の感想を記載したい。

〇台湾はITなどの最新技術が進んでいるのはなぜと疑問に思っていましたが、李先生の話で台湾は移民国家であり、統治者が何度も変わり生存していくには環境の変化に柔軟に適応していく必要があったと知り腑に落ちました。

〇台湾は 2 回目ですが李先生のお話を伺い 1 回目の旅行と見方が変わり学びの多い旅行になりました。女性の社会進出が日本より格段に進んでいること、ジェンダー問題やIT化など日本が取り残されていることに一抹の不安を感じました。

〇台湾の歴史は 400 年足らず、3000m以上の山が沢山あり、風力発電は世界一など多くのことを知りました。ニュースで台湾有事と耳にしますが、戦争は起きないだろうとの先生の話に安心しました。

〇台湾は現状維持を余儀なくされており、時間切れを狙う現地のリアリズムを知れて勉強になりました。

〇親日の理由は、以前は台湾から日本への留学生が多く交流があったからで、現在は留学生の数が減っていることが懸念事項とお聞きしましたが直接交流が大事と思うとともに日本人も台湾のことをもっと知らないといけないと感じました。

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