実録、詐欺の手口(2025年_12月号)

まさか私自身が特殊詐欺(電話等による現金等のだまし取り)に巻き込まれるとは思ってもいなかったのだが、一部始終をお話ししよう。

(水曜日)午後 4 時ごろ札幌郵便局から自宅に電話があり妻が取った。「柴田健一名で発送依頼の荷物の中に不審な点があり、調べたところ郵便では送ってはいけない現金が大量に入っていることが分かった。心当たりはありませんか?」、妻が私では分からないというと「健一さんに聞いてもらえますか?」という。妻が私に電話を掛けてきて「主人は心当たりがないと言っています。現金はたくさん入っているのですか?」「荷物を開けることが出来ないので X 線で調べてお札であることは分かったけど、枚数を数えることはできません。」「事件に巻き込まれている可能性があるので、担当部署につなぎますので、そのままお待ちください。」

日本郵政㈱法務部村上部長「警察に被害届を出すことをお勧めします。そうしなければ柴田さんが疑われることになっています。」「山形警察署に届出すればいいんでしょうか?」「いいえ、こちらから緊急通報ダイヤルを札幌市中央警察署にしますので、そのままお待ちください。そしてこれからお伝えすることを言ってください。伝票 No○○○、発送時期 ×××、被害内容云々」

札幌市中央警察署生活安全課高橋「小林亮を主犯格とする特殊詐欺グループで総額 200 億円を超える被害額が出ています。家宅捜査で小林被告から押収された通帳の中に柴田健一、典子それぞれの名義の郵貯の通帳とカードがあり、その口座に16 名分 1 億 7000 万円が振り込まれていました。」

「この事件は今年 4 月に摘発されましたが、柴田健一さんと典子さんは容疑者・重要参考人という立場にあると思ってください。」

その後、典子名義の通帳のすべての口座と残高を聞かれた。「極秘で捜査を行っているので守秘義務を守ってほしい。」「柴田さんお二人の容疑が晴れるまで、身の安全を守るため協力していきたいと思いますが、犯人でないとの証拠がありませんので潔白が証明されるまで日数が係ることを覚悟してください。なお、くれぐれも守秘義務に協力してください。(大事なことだと何度も言われた)」

(木曜日)19:40 高橋から自宅に電話、私に経緯を説明、預金通帳の残高を聞かれ、答える。

(金曜日)8:55 妻が「何事もなく過ごしています。守秘義務を守っています。」とラインで送る。19:30 私の携帯に高橋から電話が入る。「柴田さんの容疑を調べるため、預金通帳を凍結します。半年から 1 年掛かります。」柴田「とんでもない。給料もその通帳に入りますし、様々な支払いもその口座で行っているので生活が出来なくなってしまいます。」高橋「弁護士を依頼しますか?こちらに慣れた弁護士がいますので紹介もできます。」柴田「是非紹介してください。」高橋「明日の 10 時にまた電話します。」

これは大変なことになったと思いつつ、ふと高橋が本当に警察であるかどうか頭をかすめた。警察ならば警察手帳などで自ら警察であることを証明するはずだ。又、妻は既に郵貯に口座を持っているのに 2 重に作れるのだろうか?明日、高橋から電話が掛かってくる前に山形警察署に行くことを決めた。

(土曜日)9:00 山形警察署で妻がまとめたこれまでの経緯を書いた文書を警察官に渡すと一読し「詐欺です」という。今年 9 月までの山形県の特殊詐欺の件数は 78 件、被害総額は 3 億 6千万円に上るという。警察ではかかってきた詐欺集団からの電話をブロックしてくれた。今後の報復などを心配もしたが彼らは金にならないことはしないという。

警察によれば、この後、「無実であることを証明するためお札の番号を突き合わせます。預金を引き出せるだけ引き出してきてください。」「一定額が貯まりましたら取りに伺います。」あるいは「玄関先に置いてください。」と言い詐取するのだという。
後から考えると、不審な点はいくつもあった。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。