監査5部 柴田 憲吾
昨年11月に、東日本大震災の復興財源を賄うため臨時増税を盛り込んだ復興財源確保法が成立しました。
臨時増税の内容は、次の通りです。
①復興特別法人税
平成24年4月以降開始する事業年度から3年間、課税標準法人税額の10%分を上乗せ
②復興特別所得税
平成25年1月から25年間、基準所得税額の2.1%分を上乗せ
③地方税の個人住民税均等割
平成26年6月から10年間、年1,000円上乗せ
今回は、「復興特別所得税」についてまとめました。
復興特別所得税は、所得税額に対して、平成25年1月1日から25年間2.1%上乗せされます。25年間という年数は、40歳の方が定年退職まで増税期間ということになります。
個人の確定申告をして、納める税金が発生すれば、今までの所得税より2.1%を上乗せして支払うこととなります(平成25年分の所得税確定申告分より適用)。
所得税だから法人の業務には関係ないと思いがちですが、給料や報酬から控除する源泉所得税も対象となるため、無関係ではいられません。来年の1月以降に支払う給与は、平成25年度分の源泉徴収税額表をもとに算定する必要があります。給与ソフトで計算している場合は、バージョンアップやメンテナンスが必要になります。
また、たとえば10%の源泉徴収を行っていた報酬料金などは、
10%+(10%×2.1%)=10.21%
を源泉徴収しなければなりません。
講演料として、手取りで10万円の報酬を支払う場合、現在は、
111,111円―(111,111円×10%)=10万円
で、11,111円の上乗せ(源泉徴収税)が必要となっています。しかし、平成25年1月からは、
111,370円×10.21%=11,370.877…(小数点以下切り捨て)
となり、11,370円の上乗せ(源泉徴収税)が必要になります。
さらには、金融商品に対する源泉所得税については下記の通りになります。
●利子所得(銀行利息)
所得税15%・住民税5% (計20%) → 所得税15.315%・住民税5%(計20.315%)
●上場株式等の配当所得
所得税7%・住民税(注)3%(計10%) → 所得税7.147%・住民税(注)3%(計10.147%)
(注)内国法人は、住民税の徴収はされません。
源泉所得税に関しては、平成25年1月の支払から適用されますので、早めの準備が必要です。