経済誌によれば、アジア(先進国とされる日本、韓国を除く)の世界のGDPに占める割合は2030年には39.5%、2050年には48.1%と世界のGDPの約半分を占めることになるという。あさひ会計では2年に一度の海外研修旅行として、アセアンでインドネシアに次ぐ経済規模を持ち、かつ、世界一の親日国と言われるタイに訪れることにした。
9月のバンコクはまだ雨季の最中だったが想像以上に近代化され、高層ビルが立ち並び、公共交通機関がまだ十分に整備されていないためか凄まじい車のラッシュで市内から市内のちょっとした距離の移動にも1時間、2時間を要するという交通地獄の様相を呈していた。通勤にもかなりの時間がかかり、その為なのか、朝、昼、晩と3回とも外食をする人が多く、キッチンが備わっていないアパート、マンションは通常にあるとのことだった。
タイに到着した翌日は早速研修日で、最初に荘内銀行からカシコン銀行に出向している斎藤啓氏にタイ経済セミナーを開催して頂いた。
タイの国土は日本の1.4倍、人口は6千6百万人、一人当たりのGDPは日本の約5分の1、GDPに占める輸出額の割合は約70%と輸出依存度の高さが懸念されるが、2036年までには高所得国の仲間入りを狙っている。
次に訪問したのは昨年11月にオープンしたサイアム高島屋だ。予定していた高架鉄道の開通が遅れ、顧客の40%は船で来店するため大型商品の買い物ができないという誤算はあるが、タイでは日系ブランドに対する評価が高く、約100万人の富裕層と世界でもトップクラスの観光客(約4000万人)マーケットに日本型おもてなしで日本の商品を日本の価格よりチョッと高めで提供しているという。
午後に訪問したのは日系の会計事務所だ。所長の坂田竜一氏は山形市の高橋畜産食肉㈱の高橋勝幸社長の甥っ子さんだった。地元の会計士を雇い日系企業を相手に中堅の会計事務所を経営していた。
坂田氏の話はタイの租税制度をはじめ、税務調査官には現場でみなし課税する権限があること、海外で働くには言語力より相手の立場を理解する能力が必要とか、タイの風習、タイの裏社会と多岐に渡り参加者一同、深い刺激と感動をいただいた。
夕刻からは山形県に関わりのあるタイ在住の若手経営者との懇談会が催され、タイでの活躍ぶりをお聞きすることが出来た。
日本人が「タイ人は時間を守らない。」と苦言をいうと「日本人も時間を守らない。タイ人は始まる時間を守らないが、日本人は終る時間を守らない。」と反論されるのだそうだ。また、タイには暴力団はいないが、警察官は食堂で食事をしてもお金を払わないらしい。
とはいえ、いつも合掌しながら微笑む人々の国、タイに又来てみたいと思うのだった。