心を高め、経営を伸ばす(2023年_1月号)

 

暮れに元盛和塾塾生有志により昨年8 月24 日に90 歳で亡くなられた稲盛和夫塾長を偲ぶ会が東京で執り行われた。会場には全国各地からだけでなく世界各国から元塾生が駆け付け、会場で流されたメモリアルDVD を見ながら改めて稲盛塾長の思いに心打たれた。

スクリーンに2019 年7 月の最後の盛和塾での塾長の講話が映し出される。稲盛塾長は心(人格)を高めることが業績や組織を伸ばすことになるのだと説く。「塾生の皆さんはフィロソフィを学び続けて自らの人格を高めてください。フィロソフィを従業員と共有し会社を健全に発展させることを通して、一人でも多くの人を幸せにしてください。
それが経営者の使命です。」と訴える。

どんな心で経営するのかで経営は決まる。だから経営者は人格が必要となる。人間性が問われる。
「人間として何が正しいか」を、考え方・行動の基軸として正しいことを正しく貫く。人間として間違ったことをしないことが必要となる。

神は人に苦難も災難もラッキーも与えて私達を試しているのだという。これらを通して心を磨いているのかを神は見ているのだという。人生とは、成功とか失敗で決まるのではなく、どういう心を作るのか、どういう心になるのかで決まる。一生はどんな心に自分を作り上げていくのかで決まるというのである。社内に立派な人間性を持った人をたくさん作れば、放っておいても会社はうまくいくのだというのだ。
社員28 名で発足した京セラが世界的優良企業に成長したのは、稲盛氏が人生や仕事で悩み、苦しむ中で学んだ人間としての心のあり方を京セラの経営の根底をなす理念として、あるいは哲学として社員に膝詰めで説いてきたからなのだ。

あさひ会計ではここ10数年来、朝礼で『心を高める、経営を伸ばす』(稲盛和夫著)を輪読している。そこには106項目にわたる稲盛和夫氏の人生哲学・経営理念が書き連ねられている。同じ文章を何度も何度も読んでいるのだが、読む都度新たな気づきや自らの不甲斐なさを思い知らされる。私自身の人間性や人格もまだまだ磨き続けなければならないのだが、心を高める、心を磨くということを社員にどこまで訴えてきたのか、社員とどこまで共有できたのかと振り返るとまだまだ消極的であったし、強い気持ちで訴えて来なかったとの深い自省の念に駆られる。

塾長の講演や書物に数多く触れながら、それらの学びを社員とともに血肉化し、実践として役員や社員ともども心や人格や人間性をどこまで高められたのかについては、はなはだ不十分だったと思う。現場で仕事を通じて些細なことから話し合い、何が正しいかを何度も問い続けることが必要だったと今更ながら自分を情けなく思うのである。
稲盛塾長は、社員を雇うことは社員を幸せにするための利他業だという。どのようにすれば、社員との間に強固で信頼しあえる心の結びつきを実現できるのかに焦点を絞って経営してきたという。

私心をなくし、社員が心を寄せてくれる会社にするために命を懸けるくらいの気持ちで仕事をしているという。これに応える社員達の仕事ぶりに対しても、良い製品を売るだけでなく「売りに来る営業担当者も説明に来る技術陣も、我々に京セラフィロソフィという哲学と心を添えて製品を供給してくれる。しかも真面目一本やりでなく明るい。」とお客様からいわれるというのである。
あさひ会計もクライアントの皆様に専門的な知識やスキルだけでなく、謙虚さや誠実さや熱意や感謝の気持ち、さらに明るさといった人間性をもってサポートさせて頂けるようになりたいと思う。
そして、あさひ会計の役員・社員には遭遇する局面局面で「人間として何が正しいのか」と自問自答し、少しずつであれ心を高め、魂を磨きながら歩んでいって貰いたいと思うのである。

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