公会計部 東海林 加寿美
最近、『民泊』という言葉が聞かれるようになりましたが、みなさんはご存知でしょうか?
民泊は、文字通り民家に泊まることを指しています。最近では、米国のAirbnb(エアビーアンドビー)という会社が提供する、短期で空き室を貸したい人と旅行者などの宿泊希望者とをインターネット上でマッチングするサービスが世界各国で広がり、日本でもこのサービスが普及してきているそうです。平成28年3月には、厚生労働省から『「民泊サービス」のあり方について(中間整理)』が公表され、その中で、『「民泊サービス」とは、住宅 (戸建、共同住宅 等) の全部又は一部を活用して、宿泊サービスを提供するもの』と定義されました。2020年に開催される東京オリンピックへ向けて、宿泊施設不足解消のための一手段として、また、空き家の有効活用方法としても期待されているようで、日本における民泊サービスのルールづくりが現在進められています。
ところで、個人が自宅の空き室を民泊用に提供した場合に得られる収入は、税務上、どのような取り扱いになるでしょうか?
民泊で得た所得は、個人の「雑所得」に該当すると考えられます。サラリーマンの場合は、給与以外の所得が年間20万円を超えれば確定申告が必要となります。ここで、住宅ローン控除の適用を受けている場合は、適用要件を満たすよう注意する必要があります。住宅ローン控除を受けるためには、その家屋に引き続き居住していることが要件となるため、自宅全体を長期間貸し出したり、貸し出す回数が増えていったりした場合は、要件を満たしているとは言えず、控除が受けられなくなる可能性もあります。
また、不動産賃貸を行っている方が、賃貸用に所有している物件を民泊用に提供した場合は、「不動産所得」に該当すると考えられます。合わせて、消費税の課税事業者となっている方は、民泊による収入は課税売上に該当することになりますのでご留意ください。
近年、海外からの観光客は増加傾向にあり、日本の良さを知ってもらえるチャンスが増えていることをうれしく思います。
民泊サービスについては、まだ検討段階にあり、運営上の様々な問題点を解消するための法整備はこれからのようですが、新しいサービスとして、今後も注目していきたいと思います。