源泉徴収の注意点(2017年_5月号)

源泉徴収の注意点(2017年_5月号)

監査2部 山本 愛理

春になり、新しく人を雇う企業も多いのではないでしょうか?その際、給与支払者が注意すべきことはたくさんあります。ここでは、その一部である源泉所得税についてご紹介します。

給与計算の際、源泉徴収税額を確認するために「源泉徴収税額表」を使用しますが、この表には区分があります。「月額表」を使用するか「日額表」を使用するか、「甲欄」「乙欄」「丙欄(日額表のみ)」のいずれを使用するかによって、そのとき徴収すべき税額が異なります。給与形態や、「扶養控除等申告書」の提出の有無に応じ、次のように定められています。(「扶養控除等申告書」は1か所にしか提出できません。従業員がダブルワークをしている場合は、他に提出している先がないか注意が必要です。)

源泉徴収の注意点_表

ただし、「丙欄」を使用するには、「日額表」に該当する給与の支払方法がとられていることの他に、次の要件のいずれかを満たしている必要があります。

(1)雇用契約の期間があらかじめ定められている場合には、2か月以内であること。
(2)日々雇い入れている場合には、継続して2か月を超えて支払をしないこと。

なお、最初の契約が2か月以内の場合でも、雇用契約の変更などによって2か月を超えた場合、超えた日からは「月額表」又は「日額表」の「甲欄」又は「乙欄」を使用することになります。
例として、ひと月のアルバイト代が80,000円とすると、源泉徴収税額は
甲欄・・・0円
乙欄・・・2,450円   となります。
このように、給与の支払方法などによって使用する税額表と適用欄が異なり、給与から徴収する税額も変わってきます。給与支払者は源泉徴収義務者にあたるので、これを正しく徴収して納付する義務があります。間違いが発覚した場合、5%又は10%の不納不加算税と延滞の期間に比例する延滞税も上乗せして支払わなければならない可能性があるのでご注意ください。
また、「乙欄」又は「丙欄」を使用する場合でも、給与を支払う以上は源泉徴収票や給与支払報告書などの発行・提出が必要であり、その際、マイナンバーが必要となりますので、「扶養控除等申告書」の有無に係わらずマイナンバーを収集しておく必要があります。

給与計算は従業員との信頼関係にも係わるものですので、特に細心の注意が必要です。

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